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100冊myえほん

31冊目の絵本は
『だいくとおにろく』日本の昔話
松居直/再話、赤羽末吉/画、福音館書店
1967年(こどものとも傑作集)

5分
キーワード:鬼、橋、川、森、大工、名前あて

『だいくとおにろく』松居直/再話、赤羽末吉/画、福音館書店

人形劇で子どもたちといっぱい楽しんだ絵本。
また図書室の先生(当時:読書指導員)が読み聞かせをして下さり、息子たち(今は40歳代)と一緒に聞いたことを覚えています。大工が鬼の名前を当てる場面が印象に残り
山の奥から聞こえた「はやく おにろくぁ めだまぁ もってこばぁ ええ なあー」の歌や、赤い木製の橋とまわりの緑の木々、青い山々の格調高い日本画に魅了されました。

その後昔ばなし大学で学び、語りのコースでお話を覚えるようになり『子どもに語る日本の昔話1』(こぐま社)からこのお話を覚え、絵本の方のテキストは忘れていました。しかし・・・『昔話とこころの自立』(松居友/著、宝島社、1994年)を30年ぶりに読み驚きました・・・

第1章「意識と無意識の狭間で『大工と鬼六』」を読んで
あれっ?と思ったのは、絵本『だいくとおにろく』では上記の歌が子守歌となっているというのです。私は人形劇を演じたときや読み聞かせをしているときに、この歌は子どもが歌っているわらべ歌だとばかり思っていました。父である松居直氏からさんざん読み聞かせしてもらった経験がある著者の松居友さんも、やはりこの歌はわらべ歌で子どもたちが歌っているとずっと思っていたそうです。

松居友さんは、山奥の森は無意識の世界であり、生まれる前の子どもや、亡くなった子どもがいて鬼はその子どもたちを養っている存在と。目玉が子どもを養う話として『龍の子太郎』を引き合いに書かれていました。大工は目玉を失いかけていたところをこの歌が引き戻してくれた。子どもの気持ちを忘れていた大人に向けているお話と。また、鬼は力づくで目玉をとれるはずなのに、名前を当てたら許してやると約束し、当てられたらスーッと消えるが、そこに日本人の鬼に対する考え方があると。意識と無意識の世界については難しいなあと思いましたが昔話の奥深さを感じました。ぜひ『昔話とこころの自立』(松居友/著)も手に取って読んでみてください。

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