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唐辛子をめぐる冒険

2022年の年明けに
いつも仕入れていた中国産の唐辛子の原料が
流通の途中でストップしてしまいました。
国産ではないけれど、大好きな市場のご夫婦がセレクトしたそれを
ずっと安心して使い続けてきました。
そのうち再開するのかな、なんて暢気にしていたら
どうやらそうではないらしく、
それに変わる原料を在庫がなくなる直前に見つけたのが3月のこと。
そのとき、深く安堵したとともに、
もう今後、絶対、だとか、ずっと、ということは
「絶対に」ないんだなぁ、と心に刻んだのだけど、
同じことが再び。今年はもう、それでクタクタです。

おいしい唐辛子はうちのエースなので、もしこれを作れなくなったら
今の規模で仕事をすることはできないだろう、
そう思うと、暗澹たる気持ちになります。

で、あきらめました。
ずっと作り続けると宣言することをやめよう。
いい唐辛子が入ったら作ろう。
そして、いい唐辛子を作ろう(作ってもらおう)。
そう思ったら気持ちが楽になりました。

そもそもこの商品をつくりはじめたのは、もう15年くらい前。
わたしがいちばん最初に作ったびん詰めは「カレーのもと」なのですが、
スープカレーをお店で提供したい、
それに添えて辛みを調整するものを、と思って
そのときそこにあった唐辛子で試作を2回か3回して、
思った味のものはすぐ完成しました。

それをびんに詰めて冷蔵庫に転がしておいたのが、
わたしの運命を変えた、と思います。

唐辛子ってものすごく個体差があって、ものによって味が全然違うんです。
このとき、もし、違う唐辛子だったら。
もし、試作がうまくいっていなかったら。

このブランドはできていなくて、わたしは全然違う人生を過ごしていて
うちの商品と皆さんも出会うことがなかったかもしれません。

わからないことに触れるとき、頭で決めない、という態度が好きです。
かわりに直感が動くほうに進んでいくと、予想した以上の事に出会える。
いつからか、それを頼りにスケジュールを組み立てるようになりました。

今週は九州に行くのですが、
来年お仕事をご一緒する方と、偶然唐津で待ち合わせをすることになったら
「唯一味」の畑がすぐ近くで、いつも神戸にいるあの方がいらっしゃったので
畑を見学させてもらってきます。

さて、わたしは何に出会うでしょうか?
(というわけで、お楽しみに!と言いたいのですが、原行の唐辛子については今後の製造についてはまだ不明ですので、不安な方は買っておいてくださいね。ここでだけ小声でお伝えします。)


2022.9  ふじわらメールマガジンより

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