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地唄 鐘ヶ岬

地唄?鐘ヶ岬…🔔?
聞き慣れない単語ですよね。いったいどんな演目でしょうか😊



あらすじ

 昔、ある娘がら、一夜の宿を求めてやってきた旅の僧侶に懸想(恋)をしました。娘は心を打ち明けますが、僧侶は逃げるように去ってしまいます。必死に追いかける娘の執心を恐れた僧侶は、日高川を越えて道成寺にたどりつくと、大きな鐘の中に隠れます。すると娘は大蛇の姿となって鐘に巻き付き、恋した男もろとも鐘を焼き尽くすのでした。
 この伝説は能や歌舞伎の演目となって、今も親しまれています。

 後日、ふたたび道成寺に現れた娘が、いまだ消えぬ恋の執着をこめて舞う本曲も、数ある「道成寺もの」のうちの一つです。



道成寺ものとは

いかがでしょうか。あらすじを読んだだけでもぞくっとしませんか。
能の道成寺を下敷きにしたものが歌舞伎舞踊として数多く作られていますが、紀州(和歌山県)にある道成寺の安珍清姫伝説が元になっていて、その後日譚という構成になっています。
それらを一まとめにしたものを「道成寺物」と呼んでいます🌸舞踊家にとっては少し特別感を抱かせるジャンルなんですよ😊

能の「道成寺」、歌舞伎の「京鹿子娘道成寺」、そしてそこから今回の「地唄 鐘ヶ岬」が作られました。

表現の仕方が全く違う「道成寺物」ですが前半の歌詞はどの曲も共通しています。最後に歌詞を抜粋しています✨


地唄(地歌)とは

今回の公演では地唄が2曲あります。
地唄とは「江戸時代に上方(西日本)を中心とした三味線音楽」という意味合いがあります。
狭いお座敷などの空間で楽しむというニュアンスが強いのですが、このように大きな舞台で演じることももちろんあります✨

その地唄(地歌)に合わせ舞うものを【地唄舞(じうたまい)】といいます。
いわゆる日本舞踊(歌舞伎舞踊)とは違い、優雅でゆったりとした動きを中心に、抑制された非常に細やかな表現で、内面の繊細な心理描写を表します。
日本舞踊とはまた趣向の異なる「舞」をお楽しみください😊



歌詞

〽︎鐘に怨みは数々ござる 
 初夜の鐘をつく時は 諸行無常とひびくなり 
 後夜の鐘をつく時は 是生滅法とひびくなり 
 晨朝の響きには生滅々
 入相は寂滅為楽とひびけども 
 聞いて驚く人も無し
 われも五障の雲晴れて 
 真如の月を眺め明かさん

※冒頭のみ掲載


立方(たちかた)

吉村香尾(よしむら かお)

吉村輝尾先生に師事。
今回初めて岡山支部公演へ出演させていただくこととなり、嬉しく思っております。地唄舞ならではの雰囲気を楽しんでいただけるよう精一杯勤めます。

吉村香尾