初谷むいさんの「愛スペ」を読んだよ

春の愛してるスペシャルを読んで、ああ初谷むいは雪舟えまだ、と思った。
ユキフネーゼが言うんだから間違いない。
初谷むいは雪舟えまだ。
理由は、地球をきちんと愛してるからだ。

雪舟さんが死んだら地球も死ぬ。と本気で思っているんだけど、もし初谷むいが死んでも、地球のどっかが死んでしまいそうですごく怖い。

カーテンがふくらむ二次性徴みたい あ 願えば春は永遠なのか

どこででも生きてはゆける地域のゴミ袋を買えば愛してるスペシャル

生きるなら笑ってほしい あたし環境音の真似が得意

食べ物も愛してる。

花曇り パスタを塩でゆでるのはパスタが泣いてもわからんように

生活がうまくできない 吐きたてのガムなら汚くないと思った

「閉店後バナナに毛布を掛けること」とのメモがありいいなあバナナ

映画「プライベートライアン」で戦闘中、兵士が兵士に噛んでいるガムを分け与えるシーンがあるんだけど、そこにものすごく愛を感じていてそれを真っ先に思い出して感動したし、料理家の土井善晴先生が提唱している食べ物に対する敬意とか、慈愛とか、そういうのにも通じていて、初谷むいの目に映るモノや食べ物、耳に残る音たちは幸せ者だなと思う。

肯定的な歌が多いのも、最近の雪舟さんに似ていて、読んでいて悲しくならないし元気が出た。元気が出る歌集は好きだ。何度でも読みたくなる。
愛してるスペシャルだから、悲しい歌を敢えてあまり入れなかったのかは分からないけど、読者がコンセプトに入り込める工夫もされていて、読んだ後には直江兼続よろしく頭の上に『愛』という漢字がふわふわ浮かんでいた。

笑いながらフェラチオしてる女の子が言う「愛してる」みたいな、最高の「愛してる」が、この歌集にはあったので、最高らゔぃ。でした。