レギュラーのあるある探検隊のネタは短歌になり得るか
レギュラーのあるある探検隊のネタが七五調であることに今更気付いて、飛び起きた。
もしかして、短歌の一部を切り取ってあるある探検隊のリズムに乗せたらおもしろくなるんじゃないか…。
1人でやるのは難しく、壁に手をついて足を鳴らした。
まず自分の短歌から、二句目と三句目だけで完結してるものを選んだ。レギュラーのネタはほぼ終止形なので、それを参考にした。
意外と少なくてしょんぼりしてしまった。あるにはあるけど、初句があっての二句目だったり下の句へ繋げるために助詞で終わっていたりするから、言いさしになってはあるある探検隊ではないし、なかなか綺麗なカットケーキのように言葉を切り取れない。今から作ってもいいのだが、とにかくめんどくさかった。めんどくさいし、あるある探検隊用に…と意識してしまってはダメなのだ。
いくつか自分の短歌からピックアップして、あるある探検隊のリズムに乗せて音読してみる。
君の悪夢に入り込む
銀は意外と背が低い
椿の赤を守り抜く
ずっと沸騰しています
君より少し前に出る
思い出達よ逃げなさい
匂いを噛んで笑ってる
ニットを着てる熊に遭う
……ぜんぜん面白くない。ストレートに景が入ってこないものもあるし、あるあるですらない。
そもそも短歌として作っているから当たり前なんだけど、肩を落とした。西川くんも気絶したままだ。
ならば、逆はどうだろう。
あるある探検隊のネタから短歌を作ってみるのだ。
いくつかレギュラーのネタから好きなものをピックアップしてみる。
あうんの呼吸で騙される
息継ぎするとき顔変わる
アンダーラインを引きすぎる
力士に鼓膜を破られる
怒りの一撃かわされる
満場一致で叩かれる
座長にくちびる奪われる
すごい!あるあるだ!
あの、手を異常なほどしっかり組んで今から言いますよ〜言いますよ〜の空気作りから出される日本人に馴染みのある七五調のネタと、ハイッ!ハイッ!ハイハイハイ!で締められる強引さに笑ってしまう。
この中からいくつか短歌を作ってみた。作り方としては、この12音を核にせず、短歌の定型に馴染ませながら他を肉付けしていく。西川くん起きて!
初夏にあうんの呼吸で騙されるワンピースから生まれるジニア
太陽にアンダーラインを引きすぎる海岸線を北に僕らは
火のような座長にくちびる奪われる空中ブランコは揺れたまま
まあまあ短歌っぽくなったと思う。短歌になりそうなネタを選んだのもあるけど、単体で見ると(個人的には)おもしろいものを厳選したつもりなので、成立したのではないかな。下の句の前に一字開けをしたくなりそうなところをグッと堪えた。
大喜利のような短歌になにか独特な動きを付けて抑揚をつけても、面白くなるとは思えない。
でも、ピンと手を挙げて気絶したまま普通の短歌を音読したら、ちょっとおもしろいかもと思った。