見出し画像

想像人 バイオレット・トイ


#週刊少年マガジン原作大賞 #企画書部門


キャッチコピー

想像はいけない(unlikely & banned)を可能にしてくれる。
空想の向こう側に生きたいよね

あらすじ(300)

あるはずのない空間には決まった時刻に現れる店が存在しているという噂があった。しかし、通称バクと呼ばれる2人の店主が持っている店は確かに存在していた。人の空想話を欲している三白眼の少年とゴーグルを装着しているグレートデン。この2人とお話ししていると、嫌なことさえも忘れてしまう。自分自身が思い描いていた姿にも成れてしまう。でも実は、人の不幸って蜜の味。誰も実現したことないよね、こんな現実有り得ない。いいえ、この2人といれば実現できちゃうんです。個性が光る闇深アクションストーリー。

第一ワン(1000)

「どうして君はこんなこともできないんだ」上司が持っていた書類を机にたたきつける。
「相手先の○○さんは昔からの取り引く先の息子さんで...どうしてあの時の君の態度は見てられなかった。僕だから良かったけど、もし違う人だったらどうなっていたか。あー、嘆かわしい。親御さんも苦労しただろう。お前みたいな想像力の無いやつといると疲れるわっ!」鈍い音と共に目の前にいる上司が床に倒れ赤い液体が流れる。
「はっ、はっ、はっ、.…やっと消えてくれた。これで明日はぐっすり眠れる。」
(場面が変わる)上司がこちらをじっと見る「おい!聞いているのかっ、阿川!」「すみませんでした。今後このようなことが無いようにしますので、チャンスを下さい。」僕は深く頭を下げた。
(帰路)足取り悪くいつもの道をトボトボ歩いていた。
真夜中に通るいつもの道は壊れた白い蛍光灯で所々照らされ、無機質な印象を抱いた。まるで帰り道さえも自分を責めているように感じていた。
しかし、今日は橙色の暖かい光が僕を照らしている。
「こんな店あったっけ.…」
躊躇なく店の扉を開ける。そこには、アンティーク家具が感じよく配置されていた。
『お呼びですか?』
入り口側から声をかけられて、体制を崩した。
『おっと、お兄さん。大丈夫かい?』
あまりに近距離で支えてもらい、びっくりして声も出なかった。
『お兄さん、顔色悪いですね~。悩み事か?』
目に特徴のある男は、僕の顔を触りながら言い、ニコッと笑った。
『お茶を飲みながら、お話しませんか?、阿川さん』
「なんで、僕の名前知って」『カルドア、お茶をお出しして』
『さっ、阿川さん、あなた何に悩んでいるのですか?話してみたら、楽になれるかもしれません。』
沈黙が続く
『話せ』(低い声)
僕は口をついで会社でのことを話してしまった。
『要するに、その上司の方に悩まされていて、妄想で殺してしまうほど追い詰められていると。』
「.…そうです。」
『いいじゃないですか!いい経験をなされている。
滅多に起きる現象ではないですからね。それほどの不幸なら$#*様への貢献にもなる。
決めた!その妄想、実現しちゃいましょう!』
『そして、あなたの不幸を私どもに譲ってください。』

第二ワン(3000)

この男が何を言っているのか理解が追い付かなかった。人の悩みに対して、どうしてこんなにニコニコしていられるのか?妄想実現ってどういうことだ?
『譲ってほしいと言っても、タダで済まそうと思って無いのでご安心を』
『カルドア、料金プラン!』ゴーグルを着用した大型犬が一枚の紙をくわえて持ってくる。
『私どもは、表向きお客様の願いを叶えるコンサルタントのようなお仕事をしておりまして、レンタル彼氏のような認識で捉えられています。』
男は淡々と話を進めていく。
『今回は!裏側を見ていただきたい。』
そこに書かれていたことは、目を疑うような内容だった。


注意事項と楽しい料金プラン

  1. お客様が不幸であれば、あるほど実現性が増します。

  2. 実現期間は早くても1週間、遅くて1か月。

  3. 観察期間と保証期間が存在します。

  4. 必要なのは、あなたの想像力だけ。

  5. この店のことは口外しないでください

  6. 不幸の度合いによる料金表 

相手を殺したくなるか □Yes □No
自殺願望はあるか   □Yes □No
昨日の食事が思い出せない  □Yes □No
原因を誰にも知られていないか □Yes □No
否定されている存在だと思うか □Yes □No
楽しいと思えることが全くない □Yes □No
地獄に落ちてもいいと思うか  □Yes □No
眠れていない  □Yes □No
同じ光景を何度も見ているか □Yes □No
我々の顔を認識できているか  □Yes □No
……

→このチェック項目に対して当てはまった数毎に1万円
*噓は厳禁。


(「噓だろ。こんなのすべてチェックを入れたら、僕の年収を超える金額になるじゃないか!買い取るって言ってくれているんだから、乗っかってもいいんじゃないかな」)
隣にくる大型犬。「バフっ!」
『あー、阿川さん。噓ついちゃいましたね。』
「えっ?(なんでわかるんだ)」
『阿川さん、きっと行動が純粋すぎるんですね。素直なことはいいことです。.…でも、書類はちゃんと読まなきゃダメだ。
(息を吸う)
なんで分かったの?って顔ですね。それはカルドアの能力ですよ。』
『カルドアの能力は秘密事項なので詳細にはお話しできませんが、阿川さんの噓を見破ってしまいました。”*噓は厳禁”の文字見えませんでしたか?』
「すみませんでした。仕事のストレスで!つい出来心で!許してください!お願いします。」
『何をおっしゃっているのですか?私、何も言っていません。』
「でも、でもめっちゃ怖かったです。そもそも僕は売るとも言っていない。こんなの押し売りだ。」
『あれ?ひどいな。チェック事項にペンで書いている事態で言い逃れはできませんよ。.…阿川さん、とびっきり面白い想像を提供してください。これはあなたの為でもあるのです。「よろしいでしょうか?」と聞く必要ありますか?』
「.…ありません。」
「あの、これって本当に僕のためになりますよね。信じていいんですか?」
『もちろんです。私どもは”ぜんにん”の味方ですから。』(ニヤッと口だけで笑う少年)
『そうと決まれば、さっそく始めましょう!』
そう言って少年は部屋にある電気を消した。
真っ暗な視界と煙たいが心地よい香りで意識が途切れる。

「はっ!」勢い良く起き上がる阿川。
『阿川様、お疲れ様です。よく眠られていて、よっぽど寝不足だったんですね。こちらにおかけください。』
『はじめまして。私、瀬川明門と申します。こちらはセラピードックのカルドアです。今回阿川様のカウンセリングを任せられました。』
(「ずいぶんデカいセラピードックだな。」)
「あの、何のカウンセリングですか?」
『あなたが見た夢に関するカウンセリングです。内容に関してお話しただけけますか。その時、カルドアのことを触っておいてください。』
戸惑いながら、何故か従うことに違和感を感じることができなかった。
どこかで見たことのなる二人(一人+一匹)の顔も追及する気になれなかった。
「僕は上司である男に毎日𠮟られていたようです。毎日毎日怒られ続けて、それでも同期や周囲の人間は気にもかけてくれなかった。.…そうだよ、上司に殴られたときに彼女は見ていたんだ。片寄さんは僕をあざ笑うように見下していたんだ。上司は妻子持ち。女は同じ会社で働いている彼氏がいたはず。面白くなかったんだ。僕のほうが彼女に見合っているのに.…。
苦しませたい。僕と同じ苦しみを受ければいい。」
力が入った表情から、急に真顔になる阿川。
「そうだ!見世物になればいいんだよ。僕が起こられていた状況と同じように。」
『その為に、何が必要か分かりますか?』
「殴られた後の姿を会議室で晒す」
『甘いですね。阿川様ならもっとできるはずですが」
上司からの言葉「だからお前はダメなんだ!できないやつはいらない」
「そんなことはない。僕は出来る奴だ。」
少し考える阿川。
「こういうのはどうだろうか?殺人事件を起こすんだ。」
『どのような?』
「アイスピックでめった刺し事件を起こす。」
『.…そうですか。いいでしょう。行ってらっしゃい。』
「えっ?どうゆうこと?.…ワー!」
会議室:手に握らされているアイスピック、目の前に並んだ上司と女。
意思とは関係なしに動く手と身体。
豆腐を切っているかのように、刺しやすく、出てくる血液は青紫色だった。
「僕はなんてことをしてしまったんだ。殺す気はなかったんだ。.…でも楽しかった~!!!」興奮する阿川。
アナウンス
『大丈夫ですよ。阿川様、これは我々が作り出した空間内での出来事なので、.…あれ?聞いてない?.…切りますよー。』
路上で目を覚ます阿川。
「阿川ー!お前いつまで無断欠勤する気だ。今すぐ、会社に来い!」
「はい、すみません×∞」

会社内のカフェ。
「ちょっと、聞いた~。片寄さん、行方不明らしいわよ。バクの仕業かな。」井戸端会議の女性社員たち。
「行方不明?バク?」
聞きなれない言葉に対して、何故か反応せざるおえなかった。
「ちょっと、どうゆうことですか?片寄さんが行方不明だなんて!バクって何ですか?」
A「あ~。あんたが無断欠勤していた頃から、連絡が取れなくて、彼氏の桐谷さんが家に行ったけど、いなかったんだって。実家にも帰ってないって!」
B「それでね、私たちバクの仕業だと思うのよ」
C「バクの二人に頼めば、「願いは叶えてくれるけど、当初になかった人を願い事に含めてしまうと、その子が連れ去られてしまう」っていう噂があるの。あくまでも都市伝説だけどね!」

ビルの屋上
『彼、よくあんな想像ができたものだ。人間でない我々さえも、引いてしまいましたね。』
カルドアは静かに頷いた。
『夢を話せと言っているのに、話している段階で私情も乗って、ついつい付け足してしまうのは、大変面白かったけどね。』
カルドア「彼女は阿川にとって癒しの存在だったらしい。同期で、仲良かったようだ。.…で、告白したんだとよ。でも、その優しさは恋愛的な意味ではなく、只の友達として阿川との関係を保ちたかったんだろうぜ」
『たった一つの歪みが、今までの関係を壊したわけね。想像と異なると、信頼も裏切られた的な』楽しそうに言う明門。
じっと明門を見るカルドア。
カルドア「相変わらず、お前のその喋り方には慣れないな。口調が変わりすぎて、鼻がムズムズするぜ。」
『いい加減慣れてよ!自分でも調整できないんだから。』

#週刊少年マガジン原作大賞 #企画書部門






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?