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好きな人との会話ほど辛い

 会話の終わりがわからない。特に、好感を抱いている人と話すとき。興味がない人なら会話も盛り上がらないし、ちょっと会話してブチっと終わってもいい、むしろそれが普通だ。けど、興味を持っている人のことはたくさん知りたい。だから私は会話が途切れないよう常に神経を尖らせて、終わりそうになった隙に話題を継ぎ足していく。そうして相手の方から情報を引き出すのだ。

 しかし、そんなことをしていると、相手も忙しかったり時間がなかったりでどうしたって会話を終わらせなければいけない時がやってくる。締めくくりのセリフは「じゃ」とか「そんな感じかな」とか種類はあれど、たいてい私からそのセリフを言うことはない。いつも相手の宣言で会話が終わる。相手から終わりを告げられると、なんだか突き放されたような気がして、会話の余韻に縋りつきたくなってしまう。しかし、そんな様子を態度に出すと、少しだけ迷惑そうな顔をされる。会話を断ち切られたショックと、拒絶されたショックが重なり、そんなときはとても悲しくなる。だから、自分が好きだと思った人との会話はいつも辛い。

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