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ゾンビとゾンビ その3

楽しいはずなのに、3人でお茶しながら、夕子はどんどん疲れていくのを感じていた。
話せば話すほど、自分の身体から何かが吸い取られていくようなのだ。
「そんなはずは無い」と何度も自分に言い聞かせるが、貧血で倒れる直前のようになっている。

相手に関心のない友里さんは、聞かれなくても自分のことは話すのだ。
優しいポツポツとしたかわいい話し方だが、その口から出てくる言葉を聞くたび、夕子は「行き倒れ寸前のお遍路さん」みたいになっていく。

友里さんは自分の小学生娘のことを「この娘はぶさいくだから・・・」、と本人の前で平気で言う。
「おかめでもひょっとこでもいいんだよ。大好きなんだから~」的な愛情のかけらもなく、無表情に言い放つのだ。
「この鉛筆はHBです」とでも言うように、「この娘はぶさいくだ」と言う友里さんに、人間らしいい感情はみられない。
それを聞いた目の前の娘がどう感じるか、など友里さんには関係ないみたいだった。
夫の話をしても、同じだった。

わかったことは、友里さんは私に関心がないのじゃなくて、「自分以外の誰にも関心がない」ということだっだ。

続く


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