風の万里 黎明の空

なかなか耳に痛く、身につまされたな。
3人の少女が出てくる中、揃いも揃って3人とものエピソードが耳に痛かった。
私は何でもかんでも、自分のせいだ…と思ってしまいがちなのだけれど
(職場で誰かが怒っている、とか、電車で誰かがクスクス笑ってる、とかもう何でも。「私なにやらかしたんだろう・・・」となる。)
3人がそれぞれ陥っている問題が、まさにこれまでの自分がやらかしてきた、または、やらかすところまで行かなくても心のうちに沸き上がったことのある黒い部分が明るみに出されてしまったような、そんな感覚になってしまい
私もこういうところあるわ・・・なんと愚かな自分・・・と凹む。

第三者からみたら、いろんな意味で「何をいうとんねん」と突っ込まれること必至だけれど、自分では、これが真剣だからなかなか難しい。


とはいえ、陽子以外の二人には、同情はあんまりできていなくて、
「でも・・・!」「だって・・・!」ばかり並べる二人にムカムカする。
自分のことのようだと思いつつ腹も立つ、というどうしようもない自分という人間の不出来さにこれまた凹む。

凹む凹むといいながら、物語はもう大変に面白いので、
読むのは二度目のはずなのに、通勤時も読む、昼休みも読む、入浴中も読む、寝る時間削って読む、、、とあっというまに上下巻を読んでしまった。


めちゃくちゃ面白いけど、めちゃくちゃ細かくて理解が追いつくのが難しいところもある。なんだか、エヴァやシンゴジラを初めて見たときの「あ・・・この監督はこのテンポでむちゃくちゃ細かいことぶわーっと言って視聴者が置いてけぼり食らっても、物語の奥行きを持たせるための細かな設定だから理解できてなくともそんなこと気にしてないんだな・・・」の気持ちと似た感覚になった。

前の巻あたりから、
・もの数え方測り方難しい
・里むら、州、などの成り立ち難しい
・軍の成り立ち難しい
・役職の上下関係難しい
・漢字も日本語読みではなく、あちらの世界のものの材質などからみてあてられたであろう文字にふりがながふってあるけれど、ふりがなが降られなくなった途端に、その文字が何を表しているのか難しい
etc.

自分の読解力のなさ、理解力の低さが露呈してしまっているけれど
実は自分で理解できていまいことにあまり焦っていないので、
おそらく3回目を読んだとしてもきっと同じように難しい~!と言っているに違いない。(ごめんなさい、小野先生)


いま、読みおえた自分の心の内をいろいろとなぞっているのだけれど,
「陽子の人間の出来具合」にめちゃくちゃ関心するしやや嫉妬もしている自分がいる。
(2人の女の子の心情に思い当たる節がある、というのはこういうところにも出てる気がする)
景麒へ八つ当たりしたあときちんと謝れるところとか。
私的にはあれは八つ当たりでなくない!?と思ってしまったので、謝れる陽子すごい・・・これが王とそうでない私の品格の差・・・とか考えておりました。

このまま陽子は、困難なことがあっても、一つ一つきちんと向き合いながら、長く王として民から愛されて行くんだろうな・・・と一旦は思ったのだけれど。
いやまてよ。小野先生は魔性の子で最後、広瀬をどん底に突き落としたお人だぞ・・・。もしかしたら陽子が王としての道を踏み外していく世界も描くかもしれない・・・・・あってもおかしくない・・・・。
人間の黒い部分白い分酸いも甘いも容赦なく描いてくださる先生だから!!
なんて思いなおしました。

この先のあの3人の少女の行く末が明るいものであるといいなあと思うけれど、同時にそんな「めでたしめでたし」のフィクション100%の世界だと面白みが減ってしまうとも思っている今夜です。

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