ナロキソンの経鼻投与について

海外ドラマをみていたら、オキシコドンの過量服薬による意識障害に対して点鼻スプレーでナロキソンを投与している場面があった。
Narcanという商品名で海外では使用されているが、日本ではまた承認されておらず、使用することができない。
米国では年間10万人近くがオピオイドの過剰摂取により死亡しているとのことで、日本とか状況が全く違うが、在宅緩和ケアのセッティングではナロキソンの点鼻スプレーがあると安心だ。

緩和ケアの成書を確認すると以下のように記載されている。
「ナロキソンを過量に投与すると、退薬症状や激痛、せん妄を誘発するリスクがあるため慎重に投与する必要がある。呼吸回数や意識状態を観察しながら、呼吸数の改善がみられるまで少量ずつ(1回量として0.04~0.08mg)、2分おきに投与する。ナロキソンのt1/2は30~80分と非常に短いため長時間作用型のオピオイドの過量投与が原因の場合には、初回のナロキソン投与で反応がみられたとしても再度呼吸抑制となる場合があり、長時間厳重に監視し、状況によっては追加投与や持続投与を検討する。」

在宅でオピオイドの過量投与と診断した際に往診バッグに点鼻スプレーが1本入っていればすぐ使用して搬送できる。(もちろん搬送するかどうかは本人や家族に確認が必要だが、明らかに過量投与であれば搬送だろう。)
日本では緩和ケアの専門医が少なく、特に在宅では過量投与があっても診断が難しくあまり必要とされない可能性はあるが、緩和ケア病棟でも終末期の方はルート確保に手間取ることも多いため点鼻スプレーは有用であり、日本でも承認されることを期待している。

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