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医薬品等の安全監視業務の実践 (企業向け)

はじめに
医薬品医療機器法下の施行規則、GVP省令について
安全管理の概要(導入)
GVP省令(条文毎)について
GVP SOPの作り方
有害事象と評価(副作用、重篤性の国際比較、治験薬の場合)
安全管理情報の収集、当局報告
市販直後調査と製造販売後調査について
安全確保措置(添付文書改定、緊急安全性情報、安全性速報)について
医薬品リスク計画(RMP)の概要
DSURの概要
PBRERの概要
その他の安全性定期報告の概要
PV業務の委受託とPVAについて
コンビネーション製品の副作用・不具合報告について
その他の話題から


副作用の報告義務違反による初めての業務停止命令

全従業員約4500人に調査
電子媒体の記録
手書きメモ
医師の講演会のスライド など多数

「副作用報告」漏れによる行政処分の事例

2017年9月29日:B社に対する改善指導
 社員の認識不足で、アンケート調査等で知り得た有害事象等を安全管理統括部門に報告がなされなかった事等が指摘されています。
 従業員の理解不足で、有害事象等を入手したものの、放置したことで、行政処分を受けWebで公表されたケースです。
出展:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000179072.html

出展:https://answers.ten-navi.com/pharmanews/9345/

安全管理情報について

 自社製品を服用中に、患者は、風邪を引く等、何らかの病気を患うかもしれません。
 薬機法では、自社製品の服用中の発熱、咳嗽(咳)と言った情報を含め、自社は収集する義務があります。
 従いまして、自社製品の投与に関係のない「発熱」「咳嗽」とは言うものの、全従業員には、このような患者の情報(例えば「発熱」「咳嗽」)を聞いてしまった場合、その情報を安全管理統括部門に報告する義務があることをご理解戴く必要があります。
 これらの安全管理情報は、安全管理統括部門で、自社製品との因果関係、有害事象の重篤性、その有害事象は予測できるものであったかの評価を行い。当局報告の必要性を判断し、期限内に報告を行います。また、収集した情報の保管、分析(解析)を行い、必要な定期報告にも活用致します。
 なお、安全性の情報は、GVP省令では「安全管理情報」と言います。また、自社の安全管理部等は、GVP省令では「安全管理統括部門」と言います。

以下の情報は安全管理情報に該当するのか?

・自社製品の副作用に関する患者様からの電話…Yes
・自社製品が効かないという先生からの報告…Yes
・自社製品の投与手術中の出来事……Yesの可能性あり
  (先生側の明らかな手術ミスは非該当。)
・医療従事者が誤って自社製品入りシリンジのニードルを自分に刺してしまった…Yes
・自社製品の症例報告の文献・学会報告…Yesの可能性あり
  (文献・学会報告は、安全管理統括部門で評価をするので、皆さんは?と思うものは安全管理統括部門に送って下さい。)
・自社製品の小児への使用…Yes(添付文書に小児への適応が無い場合。)
   ↓
判断に迷ったら、安全管理統括部門に報告下さい。(「安全管理情報」の概念は幅広いです。)

安全管理情報について(ポイント!)

・自社製品の投与を受けた患者様に関する安全管理情報(服用中の発熱等も含みます)を得た場合は、速やかに安全管理統括部門に報告が必要になります。
 なお、情報によっては当局報告する場合があります(具体的な報告期限は追って説明します)。特に、死亡例が発生した場合は、速やかにPMDAにFAX報告を行う必要があります。
 報告遅延は、適切なCAPAと共に、製造販売業者名でPMDAに報告する必要があります。
・全従業員に、ファーマコビジランス研修を毎年、受講して戴き、安全管理情報の適正運用に努める必要があります。
・従業員が得た、安全管理情報の評価・運用・管理は、安全管理統括部門が行います。
・安全管理情報は、患者情報を含むなどConfidential情報に該当致します。他に情報を提供したり、利用することはできません。
・不明なことがあれば、安全管理統括部門に相談すること。

安全管理統括部門と安全管理実施部門について

対象:第1種製造販売業

 「安全管理統括部門」では、種々の安全管理業務を行うが、医療機関と密接に連携して業務を行う「営業本部」、「メディカルアフェアーズ部」等においては、医療現場からの安全管理情報に接する機会が多い他、積極的な適正使用を推進する部署でもある。
 このような、部署においては、安全管理業務の内、薬機法施行規則第97条に規定する業務を依頼する必要があり、また、依頼に当たっては、それぞれの部署に「安全管理実施責任者」を置かなければならないと、規定されている。
 安全管理統括部門は、これらの部署と常に連携して、安全管理情報の収集や、適正使用の推進を依頼することとなる。

安全管理統括部門と安全管理実施部門について(例)

セミナーのお知らせ

今回の投稿は「はじめに」の部分ですが、中身のセミナーを行います。初心者としてファーマコビジランスに従事する方にお勧めです。(セミナーの宣伝で済みません。)以下のURLからお願いします。スライドは苦労して200枚以上用意いたしました。
https://www.rdsc.co.jp/public/index.php/seminar/2407114

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