詩 笹飾り
太陽は意地悪なスポットライト
隠れようとする場所にまで
フレアーを伸ばす
逃げまどうことに疲れた人は
夜の緞帳を求めて空を仰ぐ
動いているのかいないのか
わからないくらい
ゆっくりと降りてくる幕
藍色のセロファンのように
月明りだけを透かして
昼間の景色を染めていく
柔らかくなった色のアスファルト
交互に踏み出す足が沈みこむ
行きついた夜の底で
短冊にしたためる
太陽を起こさないでくださいと
頭上には周波数の合わないラジオのような音
それは夜空をおおいつくす笹飾り
世界中の人々の
願い事を書いた短冊が
ひしめく
そんなちょっぴりにぎやかな夜のすき間に
自分の短冊を結ぶ
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