詩 眠れない真夜中に
眠れない真夜中に
見つけた
空っぽの物干しざお
水たまりの中の満月
自販機の明かり
光るプルトップ
雀のなきがら
埋めてあげたいけれど
ごめんねとつぶやいて
寝返りをうつと
掛けぶとんのきぬずれが
私を
嫌というほど尊大にする
身動きを止めて
息をひそめると
あるのは
自分の体の形の穴だけ
深い深い穴の底から
聞こえてくる
赤いビーズを連ねたような
救急車のサイレン
ずんずん近づいてくる
熱い
窒息しそうになるほど
赤々と燃えながら
私を飛び越して
水平線の向こうへ回りこんだ
絶え間ない
銃声
悲鳴
早く助けに来てと
身を切られるような叫びが
耳をふさいでも
穴の中に響きわたる
地球は
どこもかしこも
騒々しい真夜中
せめて子どもだけでも
寝かせてあげて
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