詩 オデュッセウスのひげ

地面に手をかざす
手のひらをくすぐる細い草
連日の雨のあとの五月晴れ
また生えてきた
不死身のオデュッセウスのひげ
つまんでむしり取る
根がぼろぼろと土をくつろげ
小さな生き物のすみかを壊す
お隣さんからもらった除草剤は
やっぱり使わずに返そうと思う
草の生えるところに
古い英雄は
また生まれてくるだろうから

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?