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出産の記録

出産のときのことを記録しておこうと思う。自分のための備忘録だが、出産の話ってなぜか人にしたくなってしまう。なぜだろう。
いろいろ特殊だが、一応計画無痛分娩だった。

妊娠の経過


妊娠の経過としては、おおむね順調だったものの、後期になってから白衣高血圧になり自宅で血圧を毎日2回計る生活をしていた。しばらくは落ち着いていたものの、産休に入った頃から徐々に上がりはじめていた。

高血圧とは別に、夫が遺伝する病気を持っているので、当時通っていたクリニックとは別の大学病院Aの診察も受けていた。クリニックで産むか、それとも大きな病院で産むか、医師も私も判断しかねている状況だった。

予定日の10日ほど前、やはり大きな病院での出産が望ましいとの医師の判断を受け、転院となった。転院先は診察を受けていた大学病院Aとはまた別の大学病院B。クリニックと大学病院Aの二つの紹介状を持ち、病院Bへ行くことになった。

出産前夜


病院Bの初診の前夜、血圧を計っていたら基準超え。初診の前にもかかわらず、病院Bで急遽診てもらうことになった。妊娠高血圧になってしまったのである。

内診や血液検査、尿検査などをして、大きな問題はないから帰ってもいいけれど、もう子宮口が3センチ開いているから、このまま誘発して分娩でもいいとのこと(計画無痛希望だった)。自覚はなかったが、お腹も張ってきていたらしい。まだ心の準備はできていなかったが、深夜帰るのも面倒なので、そのまま誘発コースを選んだ。

出産当日

一夜が明けたあとはとにかく慌ただしく、様々な書類を書いたり説明を受けたり。なんせ初めて来たところだから仕方ない。その日は金曜日で、「土日になると無痛の麻酔が入れられないからとにかく今日の分娩を目指しましょう!」とのこと。ちなみにお腹の張りはやはりあったらしいが自覚はなく、「痛くないの?」と聞かれていた。

あっという間に誘発を点滴で入れられ、その後人工破膜され、陣痛が始まる。とにかく息を吐くことを意識。(YouTubeで予習しておいて良かった…!)助産師や医師が定期的に来て、「痛みのレベルは10段階でいうと?」としきりに聞いてくるが、よく分からず適当に3とか4とか答えていた。陣痛は死ぬほど痛いものと聞いていたので、まだまだこれは序の口なのだと思っていた。個人的には陣痛より内診のほうが嫌だった。痛みに強いほうなのか、内診のとき心を無にして我慢していたらやはり医師に「痛くないの?」と言われた。普通に痛かった。

思いの外進みが早く、昼頃無痛の麻酔を入れるため分娩室へ。麻酔の処置がひととおり終わり、医師に内診してもらった頃にはもう子宮口9センチくらい。立ち会い希望だったが、こんなに早く進むと思わず、夫は間に合うかどうかの瀬戸際。麻酔が効く直前は呻きながら涙ぐむほどの痛みだった。このときも痛みのレベルを聞かれたが、6と答えていたと思う。

麻酔が効きはじめて少し楽になったが、もう全開らしく「いきみたい感じある?」と何度も聞かれる。が、よくわからない。夫の到着を助産師さんたちと待つ時間になってしまった。「○○駅に着いたようです」とか夫の実況中継みたいに。

なんとか夫が到着し、到着と同時にいきみの指示。最後は心拍がやや落ち気味ということで酸素マスクをつけられたものの、陣痛4~5回くらいで無事取り上げられた。いきむのは意外と難しくよく分からなかった。麻酔が効いていたのもあるのかもしれない。でも医師も助産師も「上手、上手!」とたくさん褒めてくれた。

「赤ちゃん生まれましたよ~!」と見せられるも、「泣いてないじゃん…」と気になって仕方ない。泣くまで1分もなかったと思うが、すごく長い時間に感じられた。産声を聞いてからは、ほっとしてほぼ目をつぶって力尽きた。

赤ちゃんは、酸素濃度は問題ないものの少し苦しそうということで、NICUの先生たちも来てくれて何か処置をされていた。

その後横に赤ちゃんを置かれ記念撮影。またちょっと苦しそうだからと処置され、そして戻ってきたら次はカンガルーケア。胸の上に乗せられた。感動、というよりは無事生まれたことへの安堵。とにかく疲れきっていた。

分娩時間約3時間のスピード出産だった。夜に緊急受診し、初めて行った大学病院でいきなり出産するという怒涛の展開だった。バースプランとかそんなものは一切なく、出した希望は立ち会いだけ。無痛の麻酔もぎりぎりすぎて、後で麻酔科の先生に「一番の痛みには間に合ってなかったと思う」なんて言われた。

なにがなんだか分からない状態での出産だったが、NICUの先生がすぐ来てくれているのを見て、大きい病院で産めて良かったなと思った。無事であればその他のことはなんでもいいと心から思った。赤ちゃんがいとおしくて大事、というよりは、私が8ヶ月ちょっと守ってきた命を絶対にここで落とすわけにはいかない、という思いだった。

赤ちゃんは助産師いわく「パーツが全部しっかりしている」らしいが、私には比較対象もなかったので、真っ赤でふにゃふにゃな壊れそうなもののように感じた。それを胸に抱いたときのあたたかさは命そのものという感じだった。

夫はテンションが高く、「髪の毛が結構生えてる」だとか「目が開いた」だとかいろいろ言っていた。

そういえば胎盤を見せてもらった。内臓というよりは血の塊だった。白っぽいへその緒もついていた。

2時間休んで入院部屋へ。面会時間が終わる夕方頃。朝食、昼食を抜いていたのでお腹がすごく空いていて、夫にコンビニでプリンを買ってきてもらった。それから持ってきてもらったパンを食べた。

きれいにされた赤ちゃんが部屋にやってきて再対面。この子がお腹に入っていたのか~と思うもあまり実感はなかった。病院は当日から母子同室を推していたが、あまりにしんどくて夜は断った。出産してからまとまって寝られたのはこの1日のみ…。今思えば預かってもらって本当に良かった。

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