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「間奏曲(山のあなた)」の作曲⑦ 再現部への到達

 なかなか時間が取れず、ずいぶんゆっくり作曲していますが、念願かなって再現部に到達しました。
 

再現部とは何ぞや?


 提示部ー中間部ー再現部(おおよそ最初のメロディーが戻ってくる)というのがクラシック音楽には多く、中間部に違う楽想の音楽が演奏されるものは三部形式(トリオ形式、行進曲や舞曲に多いですね。)、中間がまさに展開部というべき、提示部の素材(メロディーの断片やリズム、ハーモニー、あるいはイメージまで)をいろいろ発展、変形させるものをソナタ形式と呼びます。殊(こと)、一曲の素材は1つのモチーフから全て生み出されるのが理想という思いが強かったのがブラームスです。
 曲の中間を展開部とするなら、様々な転調をし、その後半にクライマックス(曲の盛り上がり)を作るのが定石です。もちろん例外はたくさんあります。ベートーヴェンは既に破格のソナタを書いており、展開部の後半よりあと、再現部の後半にクライマックスを設けたソナタも作りました。ハイドンが作り上げた、神殿のような形式を、いきなり破壊に走るベートーヴェンもすごいな、と思いますが…
 演奏をされる方は演奏曲のどこがクライマックスで、どう自分の楽器が役割を担っているのか、意識されると楽しいですね。必ずしも教科書通り(時には解説通り)ではないことが多々あります。指揮者と見解が違うから、と、喧嘩しないように。指揮のお仕事は、時に伝統的解釈というものを伝えなければならない、なかなかにマルチな責任の多いお仕事なのです。
 お好きな方に質問ですが、チャイコフスキーの交響曲第6番の一楽章、どこからが再現部だと思いますか?(笑)私が作曲家的に答えると、みんな、えー?!いやいや、それはないだろう!!となるのかな…(笑)
 答えが聞きたい方はご連絡ください。

私のこの曲は?

 さてこの曲はどちらでしょう?

 「ファイルのスキャンを実行できません」と出て、たまに青い表示になりうまく聴けない時は、その青いところをスクロールすると、「このまま再生」が出るので、クリックすると聞くことができます。
 これはサーバーに私のGoogleフォルダーを使っているためで、安全性はご心配なく。「何らかの原因でこの音声は…」と出たときは右に出る四角いマークを押すと再生ページに飛びます。

 お聴きになると、提示部の第二主題も、展開部も第一主題から作られたものであることが、うっすらお分かりになればいいのですが…
 かなりの遠隔転調を使い、♯系の音楽が展開部では主流になります。
 また、オーケストレーションに於いては、全てのパート、ヴァイオリンI、ヴァイオリンII、ヴィオラ、チェロ、コントラバスに独奏(ソロもしくはソリ)があります。
 最も盛り上がる部分は♯系と♭系のエンハーモニック転調部分(説明が難しいのでやめます笑)であり、調性的に若干曖昧さを持たせました。それを捻出するに当たり、別に時間はかかりませんでしたが、感受性的正解?に背かないか、かなり吟味しました。結果的に、狙い通り、ヴィオラによって第二主題を提示でき、メロディーが報われることになりました。
 調性が確立する部分(ドミナント)では展開部の始まりのフレーズ…(これは第一主題の明確な展開ですが)において属調の同主短調で、悲劇的性格を保たせたまま再現部への橋渡しが行われます。

第一主題のメロディー。どこを使っているかお分かりになりますか?リズムなどはわかりやすいと思います。また、ヘミオラという技法を使っています。

この後の音楽は?

 音楽的には元のメロデイーに戻ったところです。三部形式などの音楽は、まったく同じ旋律、伴奏が繰り返されることも多いのですが(そこがまた美しい…)、私のこの曲の場合は、展開部中に多用した第二主題は遠慮気味にし、若干の変化を加えながら終結部に向かわせていこうと考えています。
 あれこれ、どのような結末にしようか…それを考えることはなかなか楽しい作業でもあります。



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