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土浦一高の男子更衣室の解説と思うこと

 先日、土浦一高のプールの横にある男子用の着替える場所の写真とともに更衣室の設置を求める投稿がXにされ、インプレッション数は500万を超え、いいねも2万を超えるほど、反響を呼んだ。現在これを投稿したアカウントは非公開になり、当該ポストを現在見ることはできないが、一応リプ欄は見れるので、気になる人は上のリンクから見てほしい。このアカウントが非公開になっているのは、別に高校側から不当な弾圧を受けたためではなく、例のポストが伸び過ぎて面倒になったためなようだ。また、先日プール自体の故障があり、現在プールの授業は行われておらず、男子更衣室設置の計画はあるものの、校内のプールそのものが廃止される可能性があるらしい。
 私は土浦一高の卒業生であり、実際にプールの授業では外で着替えていた。簡素な脱衣所なので、構造上見ようと思えば覗き見するのは容易である。女子には更衣室は用意されており、外からは見られることはない。もともと、男子校で男子用にしか更衣室が用意されていなかったのだが、後に共学になって、それが女子にあてられて、男子は外で着替えることになったらしい。まあ、女子の方が盗撮や覗き見に遭いやすいので、女子に外で着替えさせるわけにはいくまい。男子か女子かであれば、女子に更衣室を優先するのはそういう意味では合理的であるが、これはあくまで2択が迫られる場合のやむを得ない判断であり、共学化してから久しいし、外で着替えることに不快感を持つ男子生徒も多いのであるから、男子も誰かに見られないような環境で着替えられるようにした方がよい。
 近年、性差別の問題に対する世間の関心は高まっており、複数の分野で男女間の不当な差をなくそうとする動きが出てきており、男女の枠にとらわれずに個人として尊重されるのは望ましいことであるが、とりわけ社会で主導権を握れなかった女性に対するものに視点が向けられがちである。日本の男女平等ランキングの順位など何度もテレビや学校で何度も聞かされるであろう。一方で権力を握る側であったからだろうか、男性が差別される対象として扱われることは少なく、女性と同じ扱いにするべきであるという意識も全体的に低い。
 今回の件だって別に土浦一高だけの問題ではなく、更衣室という点だけで見ても、リプ欄を見ればわかるとおり、同じような学校はいくらでも日本中に存在するのであり、日本全体の問題である。誰かが悪いという問題でもなかろう。たとえ、強い意志を持った先生がいたとしても、他の先生と意見が合わせられるのか、合わせられたとして、県から予算が確保できるのか疑わしい。そんなことにお金を使うなんて馬鹿らしいという雰囲気に支配されているのである。幸い現代にはSNSがあるので、生徒の方から途中の過程でつぶされることなく有権者に訴えることで、男子更衣室をつくらなければならないという雰囲気が醸成可能である。
 ちなみに、この話が出てくる前、共学化の前に作られた校歌が女子もいる現在の学校にふさわしくないのではないかと問題になったことがある。歌詞はこれである。【土浦一高校歌の歴史】 - 土浦一高 東進会 (jimdo.com)校歌の3番、4番を見ると確かに、東国男児、亀城一千の健男児など生徒が男子であることが前提の歌詞になっている。この内容が差別的ではないかということで、変更についての意見が問われ、アンケートの選択肢の名前は失念したが、どちらでもよいみたいな中立的な意見が多数を占めたことで、校歌はそのままになった。ただし、卒業式などでは2番までが歌われることになっており、学校のホームページでも2番までしか掲載されていない。校歌 - 茨城県立土浦第一高等学校 (ibk.ed.jp)アンケート自体(少なくとも私のクラスでは)十分な議論を経て行われたものではなかったし、上から押し付けられた感が強かった。
 校歌を変えるのと更衣室建設の手間や費用を考えれば同列には論じられないだろうが、学校だけではなく、社会全体で男性に対して不利だと思われることについて政治家などの上の立場にいる人の意識は低いような気がする。今回の発信に学校が圧力を加えることなく、前向きに捉えられているのは歓迎すべきことである。このような動きは、社会が性別だけが理由で扱いに差が出ることのない社会へ進みつつあることの証拠なのである。


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