【書評】貯金40万円が株式投資で4億円 かぶ1000

概要

骨太のバリュー株投資の指南書でした。どの項目をどういう基準で評価すればよいかとても具体的に書かれており、勉強になりました。

バリュー投資のため、安全性は現時点の価値と株価の差に求めるものですので、この投資手法の評価軸は分析手法の再現性の高さの1点で評価します。

詳細

分析手法がとにかく具体的・実践的です。
特に保有資産に着目した分析に強みがあり、不動産、有価証券の価値はどうやって見るのか、単に有価証券報告書に記載されている金額だけで評価するのではなく、立地や会社の方針などとの整合性をみる。縦横の比較(同業他社との比較と過去の実績との比較)を通して、現状はどう評価できるのか?株価は材料や景気動向に対してどういう反応を示すのか?など本当に割安なのかを多角的に検証するとともに、現在と今後に向け経営側が価値を毀損していないか?株価を上げるための努力をしているか?を分析し、本源的価値と今後の評価の両方から見て株価を上げる力が働いていることをもって投資適格と判断していきます。

投資に至るまでの検討段階の銘柄についても、会社四季報を使ったピックアップからランキングによる評価まで詳しく書かれているので、本書の手法に沿って分析を勧めれば自信を持った銘柄選定ができると思います。

他にも、設立年数の古いに注目する、地方の若者が待ち合わせ場所にしている場所を検索するなど、良い銘柄を見つけるちょっとしたテクニックも書かれていて読み物としても面白かったです。

半面でとても手のかかる投資法だと思います。有価証券報告書を読んだり財務諸表を読むことが好きであることは当然のこととして、他にも商品やサービスがどのように受け入れられているか?不動産を見ては人通りの多さはどうか?というようなことを考えることが好きでないと継続することが難しいと思います。

総評

非常に良い投資手法だと思いますが、とても労力のいる投資手法です。
本業を持つ個人投資家が数十万円から数百万円の予算を元手に株式投資を始めようというときに選択する手法としてはあまりお勧めできないかもしれません。それは、予算が小さく投資予算全体で1~2銘柄程度しか購入できないとすればさすがに分散が効かなすぎだと思いますし、5銘柄も投資に的確な銘柄を選び出すのはかなり時間を要するからです。
少なくとも5銘柄以上に投資できる程度の予算があり、十分に分析できた銘柄に1銘柄ずつ投資を行うような投資ができる場合や、インデックスファンドへの積立投資などと併用して、トータルで分散効果が得られるようにポートフォリオを構築し、順次個別銘柄への投資の割合を大きくしていくというのが良いと思います。

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