市役所開庁時間短縮を考えてみる

田邊議員のYouTubeチャンネルの活動報告は
わかりやすいです。
議会でも他の議員と執行部の間を通訳するような要点まとめの質問をされています。
時折笑うのは癖なのか、空気が和らぎます。まだ見ていない方はぜひ。

決算の審議でも話題が出ていたので
今回はちょっと脱線します。

さて、開庁・開所時間はどちらかといえば広がってきました。
一昔前は一体どのタイミングで行けと言うのかレベルで平日日中しか開いていないことに定評がありましたが
最近では土曜日や夜間窓口、週に一度の時間延長などは当然のように多くの自治体や公共施設で行われています。

銀行等金融機関は窓口の基本的な営業時間が9時から15時までと
法律で定められていますので例外ですが
スーパーマーケットでも24時間営業している所があるように
これまではどんどん営業時間は拡大していました。

で、これに逆らうように
安芸高田市では市役所などの開庁時間を縮小しました。
過去:午前8時30分から午後5時15分まで
現在:午前9時から午後5時まで

ポイントは2つです。

1.職員の勤務時間と営業時間のバランス
2.職員の残業時間

この順番なのですが
1を変えることで2に影響するイメージです。
メリットとして注目されやすいので
第一目的は2の残業時間の削減だと思われやすいのですが
根本的には勤務時間の問題です。

あらためて調べて知りましたが
全国的に市役所職員の勤務時間は開庁時間と同じになっています。

国家公務員は
大正11年に発令された閣令第6号によって官庁執務時間(開庁時間)は原則午前8時30分から午後5時までとなっています。
また、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成30年4月1日改正)により
職員の勤務時間は1週間当たり38時間45分、1日当たり7時間45分(休憩は45分)とされています。

午前8時30分から午後5時までで、休憩を45分で7時間45分。
公務員の勤務時間は開庁時間と同じというルールが作られたのはこのためだと思われます。

休憩を1時間にして勤務時間を8時30分から午後5時15分までに。
勤務時間と開庁時間は同じ、で開庁時間も延長。

そもそもの時間設定の理由はこのようなものと推測します。
この時間設定にどこまでの妥当性があるのか。無理はないのか。

通用口の鍵を開けて、所定の位置に鍵を戻し、身だしなみを整え、電気を付けて回って、パソコンを立ち上げ、簡単に清掃をし、駐車場の柵を解除、自動扉のスイッチを入れる。
開庁準備はこのあたりでしょうか。制服がないところが多いので、身だしなみはロッカーに自分の荷物を置く程度かもしれません。
慣れれば5分から10分程でできると思います。電気等は各課に割り振り、外回りを当番制にすればもっと負担は減ります。

ただし、この後に朝礼が15分あるとどうでしょうか。
法令改正があり、変更内容の注意事項を伝達しないといけなかったら。
朝一でアポイントがあって、前日に準備した資料の確認もしないといけない。

窓口の対応をせずにバックヤードに職員が集合していたら
間違いなくクレームになります。
お客を待たせて何を突っ立ってるんだ、と。

じゃあ、15分早く出勤しよう。
打合せのために30分早く、1時間早く。

定時より1時間以上前に出勤し、開庁に備える。
昼休憩を取らずに窓口や電話の対応をする。
会議や打合せは開庁前または閉庁後に自主的に行う。
公務員なら市民のために、やって当たり前でしょうという意見もあります。
議会でもそうした意見が議員から出ました。

ですが、サービス残業はそもそも違法です。
公務員は法令準拠で仕事をしている以上、高いコンプライアンス意識が求められます。
所定労働時間を超えることが予め分かっているような働き方はできません。

自主的なサービス残業を礼賛してはいけない、と思います。
そういう空気を作ると皆が無理をしなくてはいけなくなります。

一般的に、勤務時間と営業時間には差が設けられています。
スターバックスコーヒーなどの喫茶店だと
営業時間が午前8時からだと勤務時間は午前7時からです。
食品とレジの両方の準備が必要なため、長いです。
銀行は営業時間が午前9時からだと勤務時間は午前8時45分からが一般的なようです。
これらは、労働基準法により制服がある場合の着替えの時間や業務の準備の時間も労働時間に含まれるとされていることもありますが
そもそも営業時間外にも業務はあるからです。

市役所の業務も、窓口で市民に対応することだけではありません。
やたらと量産される国からの給付金業務は、ほぼ市町村に丸投げされています。住民税非課税世帯は市町村しか把握していないんですから。
マイナンバーカードの発行も、ほぼ市町村の仕事です。
市役所のデジタル化も進み、インターネットを利用した手続きも増えています。そうした手続きのチェックもあります。
市役所も、営業時間外にも業務があるのです。

解決方法として
1.時差出勤を定める。
2.窓口業務を委託して、職員はバックヤードで事務処理等を行う
3.所定労働時間を変更する
4.開庁時間を変更する
などがあると思います。

安芸高田市も含め、多くの自治体が1と2を実践しています。
3は市役所だと難しいんでしょうか。
特殊法人だと週40時間、1日当たりの所定労働時間を8時間にしている所があります。

1は鍵当番や開庁時間延長に対応できます。
2は委託員が対応しているタイミングに会議ができます。
3は、そもそもの1日当たりの所定労働時間を8時間にすれば、15分の準備時間が確保できるのではないかと。
4は最終手段です。

安芸高田市の職員の勤務時間は前述と同じ
午前8時30分から午後5時15分までで休憩1時間が基本です。
この時間は2023年9月現在で変わっていません。
こちらの変更は検討されなかったんでしょうか。私が聞き逃しているのかな。

とりあえず、石丸市長の判断は4でした。
民間の常識を取り入れるのに躊躇なし。
区切り方もばっさりで分かりやすい。
市役所職員からは評判が良いのではないかと思います。
これを機に、公務員の勤務時間は開庁時間と同じという謎ルールを変更する流れになってもいいんじゃないでしょうか。

市役所のLINEだったり、市のホームページだったり。
皆が好きなタイミングで手続きができるように段々進化していっています。
労働人口が減っていますから、そもそも対応できる人数に限界がきます。
それを見越してのことなのだろうなと想像します。
遠くない将来、金融機関と同じ開庁時間になってもおかしくないよなと考えたりしています。

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