『ルックバック』とbetcover!!の親和性の高さに感動していたのに誰も同意見の人がいないので、俺が書く。
『ルックバック』の映画が公開されました。私は諸事情で見れていませんがツイッターや口コミでは大絶賛が相次いでいます。ジャンププラスで原作が出た時のようなお祭り騒ぎで、やはりそれだけ人の心に訴えかける力がある作品なのだなと感じています。
話は変わりますが、オタクの風習に「イメソン」というものがあります。一度何かにハマると全く関係のない曲が、その何かを表しているかのように錯覚してしまう現象です。
米津玄師の『Lemon』はかなりの数のオタクの幻覚を呼び覚ましたといいます。
僕は『ルックバック』にドハマリし、2つ『ルックバック』に合いすぎる、映画化の暁にはこれを…!と思っていた曲があります。正直今回の映画化は先を越された思いです。曲だけ。
それがbetcover!!というアーティストの曲です。まあ聴いてください。
その①『ゆめみちゃった』
およそ10分の長尺ながら中弛みせずシュールでエモーショナルな世界観をふんだんに展開させた初期の名曲です。歌詞はとても抽象的で、はっきりとした意味はありません。例えば歌い出しはこんなふうに。
はい。この時点で大分藤本タツキ感がありませんか???「生まれ変わってしまいたい」と厭世的なのかと思いきや「ひとになりたい」「涙を流したい」と人の感情を肯定するような歌詞。そして散りばめられる「都会で死んだ猫ちゃん」「都会のシンドバット」という少し間の抜けた俗っぽい語彙。
この切実な感情を俗っぽさと混ぜて表現するところにとても藤本タツキ的なものを感じます。幸せな生活を求めるデンジがまずパワーちゃんのおっぱいを求めて奔走するような。
まあこれだけで理解しろとは言いません。具体的に『ルックバック』とリンクした(と思いこんでる)のは例えばこの部分。
ごめんなさい。他の部分大体です。でも「時の旅人」と「親友またね」は出来すぎていると思いませんか??
あえて抽象的な歌詞を読み解くのは野暮な気もしますが、恐らく時を超えてあったかもしれない幸せ(親友が関わる?)を探す夢を見ていたということかと推察できます。要は「あったかもしれない未来」の夢なわけです。
これは『ルックバック』じゃないですか?いやそんな話いっぱいあるかもだし抽象的な歌詞にかこつけてるだけかもしれないけど…。でも、『ゆめみちゃったよ 誰にもバラせないような幸せを手に入れたよ』と何度も歌い上げるのを聴くとどうしても(勝手に)こみ上げてしまいます。
その②『海豚少年』
このフルートとエフェクターをかけたギターを合わせるのはbetcover!!の曲でちょくちょくあるのですが普通に発想が天才だと思います。
それはさておき、この曲の歌い出し。
君と未来というワードだけでかなり『ルックバック』を感じています。真面目に言うと何かを残してくれた親友が自分にとって遠い未来に行ってしまったというのはもうほぼほぼそうですよね。
そして、サビ。
もうすごくないですか?
『海豚少年』というタイトルを鑑みるに「海豚」と「戦場真少年」は何かを伝えたい、訴えたい相手を表していると言えます。そしてこれは行ってしまった「君」のことだと思って良さそうです。
希望なんてなくてもそのために叫びたいものがあるという切実さ。
「なんとかなるさ」と希望を表しながら、「わかってるはずなのに」と後悔を感じさせるアイロニー。
「俺の瞳」が「俺」の世界を作り、未来を拒絶すらするというのも、藤野が見たもう一つの未来とかっちりリンクします。また、漫画を作るといこともある意味世界を作る(孕む)ことではないかと思います。
そしてやはり「声をなくした海豚のために歌ってやるんだ」というのが京本の死を知ったあとの最後のページの藤野の背中と重なります。
藤野が雨の中踊ってるシーンでフルートの部分流してほしいな…。もう無理だけど…。
まとめ
ルックバックは簡単に言うと人生の分岐点を描いた作品だと思うので、望んだことや得られなかったもの、つまりは夢への切望を描いたこの2曲と重なるのだと思います。
betcover!!には良い曲がいっぱいあるので聴いて下さい。
上記2曲を聴いたあとは『時間』を通して聴くのがオススメです。やっぱりこれが一番いい。
ちなみにbetcover‼他にもそれっぽい曲あるんじゃないの?と思ったんですけど『時間』以降の作品は歌詞が抽象的になりすぎてちょっとイメージができませんでした。
歌詞の解釈はあくまで僕が勝手に言ってるだけなので正確じゃなっかたら申し訳ないです。
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