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ジャスト・ザ・スリー・オブ・アス
「いま、うちはさんにんきりだねぇ」
のんびりとした明るい口調で、次女が後ろから話しかけてきた。
私は前をみたまま「そうだねぇ」と答えた。
さんにんきり、という言葉がせまい車内に波紋となって響き、頭の中に何度もこだました。
さんにんきり。
ひとりずつ増えてきた家族の道のりがあった。
直近のふたつは私のなかではじまったが、ほどなくして自分の心臓を打ち鳴らし、あっという間にそれぞれの人生を歩み出した。
物語があるほうがいい
モノよりコトに関心が移った、アフターコロナの世界。
そんな中でもモノを手に入れる場合、時価のような相対的な価値よりも、思い入れや自分にとっての物語といった絶対的価値があったほうがいい。
そしてそれは、大人に限った話ではない。
こどもたちがモノを手に入れる機会は、イベントの節目節目で訪れる。
たとえば、誕生日やクリスマス。
本人が衝動的に欲しいものを手に入れることは、いっときの所有欲や願望を聞いて
書を携えて冒険に出よう
本と音楽への投資は惜しまない。
本から得た知見は、誰にも奪えない自分だけの財産となる。
音楽には今を鼓舞したり、気分を落ち着けたりする効能がある。色濃く記憶と結びついては、いつかの支えになってくれる。
いずれも、生涯の友となってくれるものだ。
文庫本とウォークマンはいつも鞄に入れて持ち歩いていた中学生時代。
高校生になり、携帯が音楽プレイヤーを兼ね備えるようになっても、文庫本は常に数冊所持してい