はじめに

 科学技術の進化とともに観る者の視覚体験の可能性を拡張してきた、映画というエンターテインメント。もはや現実の質感とは区別がつかないほどのCG技術の進歩には、毎度圧巻される。しかし、CGや撮影機材の技術向上が進んでも、映画そのものが持つ本質的な面白さの核となる部分は変わらない。それは、監督の撮影方法や脚本の惹きつけるストーリー、俳優の方々のそれぞれがもつ象徴的な演技だと、私は考えます。映画の面白さは、作られた時代を問いません。

監督のオリジナリティ「アルフレッド・ヒッチコック監督」「ティム・バートン監督」

 映画監督というのは映画を作るスタートから終わりまで重要な役割であり、キャスティングや撮影現場での撮影・演技の指導など、映像制作においての総括的な指揮をとる必要があります。監督は俳優と違って映画の中で直接的に関わることはまず無い(監督が自ら出演する場合もあり)ですが、やはり同じ監督が手掛けた作品には、その監督のこだわりや味が見て取れます。

 私は1960年制作のアルフレッド・ヒッチコック監督の映画「サイコ」を見た時に、「なんて面白い映画なんだ。」と思いました。モノクロ映像でCGも使えない時代に、始まりから流れる不穏な音楽、独特な撮影方法、結末が気になるストーリー、といった要素で観客を没入させ、今でも名作として人々に支持されているのは、やはりこの映画にしかない魅力があるからでしょう。
 とくに、私が一貫した”監督色”のある作品を生んでいると感じたのは、「ティム・バートン監督」です。彼が手掛ける作品にはどこか可愛らしい、親しみやすい奇妙な世界観でありながらも、ブラックユーモアがあったり登場人物が悩みを抱えているという描写が多く見られます。彼はアニメーターとしても有名で、ストップモーション撮影技術とデジタル技術を使って作られた「ナイトメア・ビフォアクリスマス」や「コープスブライド」は彼の描く世界観を堪能できると思います。

作品の象徴、アイデンティティとなる俳優の演技「ジム・キャリー」

 私達が映画に没入し、物語を追うことができるのは、俳優の方々の”演技”という要素は大いに関係あるでしょう。まるで別人を憑依させたかのような見事な細かい動き、表情、声色は、見る者が違和感のない「現実であると錯覚させる、創られた現実体験」を演出します。もし例えばそれが演技経験も無いそこらを歩いている素人を起用したのであれば、映画は成り立たないでしょう。俳優という、観客が自己投影をして疑似体験をする上で重要な役割は、それぞれの映画の世界観や人物設定にうまく合致することで、その映画にリアリティを吹き込み、作品としてのクオリティを成立させていると思います。
 私が好む俳優の一人である「ジム・キャリー」さんは、他の俳優の方々とは異なる、映画における俳優の位置付けを確立していると感じています。コメディ映画に多々出演している彼ですが、出演されているコメディ作品を見ていく内に彼の演技が「ジム・キャリーというキャラクター」で成立し、認識され、それが作品の象徴とも呼べる領域にまでに達していることに気が付きました。わかりやすく説明すると、ある作品を見た後に別の出演作品を見た際に、物語の登場人物というよりも、作品間を超えて「ジム・キャリーというキャラクター」が映画の世界で別のキャラクターを演じている、といったイメージです。
 丁度この記事を書いている時にジム・キャリーさんが一時活動休止するとの情報が舞い込んできたのですが、機会があれば活動を再開するとのことなので、今後に期待したいと思います。

映画は単なるエンタメか?学びの場か?

 私は、現実を忘れて没入できる映画というコンテンツには両方を求めて鑑賞しています。コメディで楽しい体験をし、SFで現実性のある非現実のアイデアを知り、サスペンス、ホラーでスリルを味わい、フィクションで現実の出来事を知るetc…。このように映画には様々なジャンルがあり、自分の体験したい目的によって自由に選ぶことができます。映画に限らず「エンタメ」と総括されるものにはその自由が保障されており、必要なものを得ることができます。映画は「娯楽」であるから何も考えずに映像を楽しめるのが言う人もいれば、映画は過去の出来事を忠実に再現したものもあるから教材にもなって学びがあると言う人もいます。どちらも正解で、どのような楽しみ方も自由です。ですが、私にとっての映画の存在は単なるエンタメに留まるものではありませんでした。洋画を鑑賞している内に英語に対して関心を持ち、”自発的”に学びたいと思うようになりましたし、作中外での俳優の方々のインタビュー等を拝見して演技に対する思いや考え方、心持ちなどを取り込めるものは取り込み、自己を確立する上で影響を受けました。

最後に

 皆さんそれぞれの楽しみ方で自由に映画に接してください。私のnoteでは、見た映画のあらすじや細かい内容の紹介と言うよりも、個人的に感じたその映画に注目してほしいポイントや出演している俳優の方に焦点をあてて書いていこうと思います。


 


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