思い出

小学生の頃の夏休み、父の実家に泊まりに行くと、夜は蚊帳を張ってくれました。

お風呂上がりに仏壇の前に座ってお経を読んでいたら、いつもは厳しい祖母が褒めてくれて、よく冷えた葡萄を出してくれました。

父の妹も、離婚して家に戻り、一緒に住んでいました。
その料理上手な叔母が作る、そうめんのつゆが美味しくて、お吸い物のように
飲んでばかりいました。

家の外に大きな蜘蛛がいた時は、悲鳴を上げました。
「そんな事で怖がっていたら、ここには住めませんよ」、と言われました。

父の実家の事ばかり思い出すのには訳があります。

その家に住む人が誰もいなくなって、家を解体するからです。

更地になっても、私は見に行きません。

私の心の中では、あの大きな和風建築の家には皆が生き生きと暮らしています。

私が生きている限り、あの家は残ります。

ありがとうございました。
また明日。




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