牛丼大手3社と、【2702】日本マクドナルド…明暗を分けたポイントは?

株マイスター バックナンバー(2012年07月26日更新)

※当該情報は、株マイスターで公開された過去コラムをバックナンバーとして公開しております。

牛丼大手3社

牛丼大手3社が、価格競争による“消耗戦”を強いられています。【7550】ゼンショーホールディングスが展開する「すき家」、【9861】吉野家ホールディングスの「吉野家」、【9887】松屋フーズの「松屋」の既存店ベースの売上高は揃って前年割れが続いており、牛丼首位の座を勝ち取った「すき家」でも、既存店ベースの売上高が10カ月連続の前年割れと苦戦が続く展開。メニュー開発やキャンペーンなど新戦略を模索しているものの、根本的な打開策には至っていません。

牛丼業界の不毛な低価格競争を尻目に、高級化路線で成功を続けるのが【2702】日本マクドナルドホールディングス。2000年初頭には「59円バーガー」や「バリューセット一律500円」など、低価格路線が裏目に出て経営危機に陥ったこともあるマクドナルドですが、期間限定商品の投入や高級志向へのシフトが奏功し、業績のV字回復を果たしました。

同じファーストフード業界とは思えない明暗ぶりですが、これほどまでに大きく両者を分けた要因は一体何なのでしょうか。

マクドナルド

価格競争から脱するためにマクドナルドが発案したのが、「世界のご当地もの」戦略。「マンハッタンバーガー」や「グランドキャニオンバーガー」など、多くの期間限定商品を打ち出した「ビッグ・アメリカ」シリーズを皮切りに、現在は「世界の★★★マック」と称して、フランスの「ル・グラン」、インドの「ゴールドマサラ」、オーストラリアの「オージーデリ」と、魅力的な商品を次々と発信しています。

オリジナリティのある商品展開とはいえ、そこに特別な食材や調理法があるわけではありません。しかし、ハンバーガーの世界に明確な形で“国際性”を持ち込んだのは、今回のマクドナルドが初めて。食材や調理法などは「出尽くしている」感が強く、オリジナリティを追求するのが難しいレストラン業界において、定番商品は保ちつつも新たな商品展開でニッチ市場をつくっていく戦略はさすがとしか言いようがありません。

さらに、マクドナルドはカフェメニューの進化にも注力。すでに「マックカフェ」でファーストフードのレベルを超えた質の高いコーヒーを提供していますが、新しくオープンした「マックカフェ バイ バリスタ」では、コーヒーの専門知識を持つバリスタが注文を受けてから1杯ずつ作るという本格ぶり。

これらの大胆な戦略を主導するのが、同社CEO(最高経営責任者)の原田泳幸氏。以前はアップルコンピュータをCEOを務めていた原田氏ですが、ウィンドウズPCの“不毛なシェア競争”から距離を置き、独自路線で顧客満足を得る姿勢は、マクドナルドのCEOとなった今でも変わらず貫かれています。

量的拡大を追うのではなく、話題性のある商品によってマーケットに革新をもたらすことを目指す。「アップルはシェアを追ってはいけないんだ」「他人との競争にとらわれることなく、我が道を追求することで強くなる」というアップルCEO時代の氏の言葉に、そのスピリットが色濃く表れています。

「マンネリ感」
もちろん、マクドナルドにも「マンネリ感」はあります。定番メニューはもちろん、毎年同じ時期に発売される月見バーガーなど、すでに飽きている消費者は多いでしょう。しかし、これらの定番商品を変わらず愛し続ける消費者がいるのも事実。新商品ばかりにとらわれず、追加の開発コストがかからない=安定した利益が望める定番メニューもしっかり温存しているあたり、原田氏の抜け目なさを感じます。

また、マクドナルドが特にこだわっているのが「高級感」の演出。全店舗の内装リニューアルでファーストフード特有の“安っぽさ”を解消し、消費者に「価格以上の価値」を感じさせることに成功しました。

この手法は、マンション業界でも広く取り入れられているもの。最近の新築マンションではガラス張りの高級感溢れるエントランスホールが多くみられますが、このように共用部分への投資額を増やすことで、実際のマンション価格よりも“価値を高く”感じさせています。

「牛丼の高級化」?

しかし、「牛丼の高級化」というのはあり得るのでしょうか。これは充分可能でしょう。質の高い国産牛・高級米を使用し、和系だけでなく洋の食材も使用した創作系のメニューにすることで、ニッチ市場をつくることは難しくないと思われます。今後「高級志向の牛丼」というニッチ市場を開拓する新たな企業が市場に参入してくるかもしれません。

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