“悪役三人衆”ソニー、パナソニック、シャープの反撃はあるのか?

株マイスター バックナンバー(2012年5月24日更新)
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“悪役三人衆”ソニー、パナソニック、シャープの反撃はあるのか?

12年3月期の決算が揃って大赤字となりました、【6758】ソニー【6752】パナソニック【6753】シャープの大手電機メーカー3社。巷では『悪役三人衆』という不名誉な称号がつけられています。今月21日には3社仲良く年初来安値を更新、欧州問題を背景とした円高進行への懸念も大きく、業績回復を期待した買いが入りづらい状況です。

しかし、この3社はみな設立から60年以上が経過している“成熟企業”の代表格。企業の一生における「成長ステージ」はすでに終焉しており、新興株のような利益成長を今から期待するのは酷というものです。

ただ、企業としては「成熟」していても、内部を構成する人材については大きく様相が異なります。ソニーやパナソニックといった「ビッグネーム」につられて入社したものの、元々の「大企業体質」に加えて経営不振による開発環境の悪化から、自分たちの実力を出しきれずにいる有能な技術者が数多く存在します。経営の改善がなければ技術者の処遇の改善もないわけで、彼らの不満は募る一方です。

技術を売りものにしているとはいえ、企業の「技術力」と「経営力」は別個に考えなければなりません。いくら技術力があったところで、市場のニーズを掴むマーケティング力や経営の効率性といった部分に欠陥があれば、開発環境に大きく影響してくるだけでなく、企業としての未来も危ぶまれます。『三人衆』企業のなかで、技術力と経営力の間に大きな「乖離」が起こっていることは確かです。

そこに目をつけたのが、世界的に躍進を続ける韓国メーカーのサムスン。『三人衆』の陥落と歩調を合わせるかのように、日本人技術者の引き抜き攻勢を強めています。これまでは日本国内に常駐するヘッドハンターが人材候補者に打診するという形をとっていましたが、最近は給与決定権のある人事担当役員が人材候補者に直接コンタクトをとることで、採用のスピードを早めているといいます。

サムスンでは97年のアジア通貨危機以降、李会長の命令により日本企業の設計技術者を積極的に採用する「ジャパン・プロジェクト」を推進してきました。最近の日本メーカーの不調によって、このような「日本人ハンティング」の流れに拍車がかかっているとみてよいでしょう。

今やサムスンは薄型テレビで世界トップ、NANDやDRAMといった記憶用半導体でも首位。スマートフォン販売台数でも昨年は世界首位となり、携帯電話全体でも1―3月期にはノキアを初めて抜く見通しと、その勢いはとどまるところを知りません。

できれば日本のメーカーで研究し、日本の技術力向上に貢献したい、それが日本人技術者たちの正直な気持ちでしょう。しかし、彼らの一番の希望は「好きな研究を続けたい」というもの。低迷が続く日本企業で、将来が不安なまま研究を続けるよりも、成長企業が与えてくれる好環境で気兼ねなく研究をしたい、そんな技術者たちの本音が聞こえてくるようです。

巨額の赤字から事業縮小、人員削減を余儀なくされている『三人衆』。ビッグネームへの執着を捨てて、より良い開発環境や処遇を求める有能な日本人技術者。そして、そのような優秀な人材を受け入れる余地がある、成長企業の韓国サムスン。3者のニーズがピッタリと噛み合っていることから、今後は「日本から韓国への技術者流出」という流れが強まってくると予想されます。

『三人衆』の時価総額をみますと、いつ海外大手の買収対象になってもおかしくない水準まで減ってきています。技術者を個別にハンティングするという手間のかかる手段をとるより、株価が下がってきたところで企業丸ごと買収してしまおう…そんな動きに発展する可能性もあり得なくはないでしょう。

このように低迷を続ける銘柄もあるものの、広い目で市場を眺めてみれば底打ち感がみられる優良株が多く存在します。期間契約プラン会員様には、このような『有望銘柄』を日々ご提供しておりますので、ご興味ご関心のある会員様はぜひ各種プランをご検討くださいませ。

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