AIと著作権(文化庁セミナー資料)のお勉強
昨今、生成AIと著作権の関係がニュースなどで話題になっているかと思います。私も最近、ChatGPTや画像生成AIを使い始めて、いったいどう考えればいいのか、興味本位も含めて気になっていました。
そんな時、文化庁が公表しているわかりやすい資料を見つけましたので、自身の勉強としてここにまとめてみました。
下の文化庁Webサイト中の「講義資料」が今回の勉強のネタです。
なお、以下のまとめは、法律素人&poorな理解力の私の独断と偏見に基づいています。また、あくまでも私個人の学習のためのものです。ですので、法的判断は各自の自己責任でお願いします。
著作権法が保護する「著作物」とは
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法第2条第1項第1号)
単なるデータ(事実)やありふれた表現、表現でないアイディア
(作風・画風など)は、著作権法による保護の対象にはならない。保護の対象になるのは、著作権者が創作してから死後70年まで。
※要すれば、「オリジナリティのあるOutput」が、著作権法による保護の対象となる「著作物」であって、使用者は気を付けなければいけないもです。
著作権と著作権侵害
著作権は、複製、上演、演奏、上映といったように、著作物の利用の形態ごとに権利が定められている。
著作権の対象となる利用行為をしようとする際は、著作権者から「許諾」を得ることが原則。
「著作物」をWebにアップロードする行為は、「公衆送信」にあたるので、著作権者から利用許諾を得る必要がある。
他人の著作物を、①権利者から「許諾」を得ておらず、②権利制限規定(後述)にも該当しないにもかかわらず利用した場合は、「著作権侵害」となる。
著作権侵害の用件として判例では、①類似性と②依拠性の両方を満たすことが必要とされている。
類似性:後発の作品が既存の著作物と同一、又は類似していること
依拠性:既存の著作物に依拠して複製等がされたこと
※あるOutputが、他人が創作した著作物と似ているように見え、かつその著作物を参考にしないとできないようなものだと、著作権侵害と指摘される可能性があるということだと理解しました。
著作物を許諾を得ず利用できる場合(権利制限規定)
他人の著作物を利用する場合は、事前に利用の許諾を得るのが原則だが、公益性の高い利用等、一定の場合には許諾を得ずに利用することを認める規定が設けられている(権利制限規定)
私的使用のための複製
著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用
引用
学校その他の教育機関における複製等
非営利・無料・無報酬での上演等
….etc.
※他人の著作物を利用する場合は、利用方法によって、権利制限規定に該当するので許諾を得ずに利用できるのか、原則通り著作権者から利用許諾を得なければならないのかを検討する必要があるのでしょう。
※(以下想像)例えばイラストのDLサイトで、「個人、法人、商用、非商用問わず無料でご利用頂けます」と言っているのは、これにて許諾しているか、あるいは著作権を放棄している、ということでしょうね。
AIと著作権の関係についての基本的な考え方
論点を3つに分けて考える必要あり。
AI開発・学習段階 → input
生成・利用段階 → output
AI生成物は「著作物」なのか → output
1.AI開発・学習段階での著作物の利用
基本的に著作権者の許諾なく行うことが可能。
例えば、著作物を学習用データとして収集・複製、学習用データセットを作成し、データセットを学習に利用して、AI(学習済みモデル)を開発する場合。
著作権法上は、著作物を許諾を得ず利用できる場合(権利制限規定)に、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用(第三十条の四)」が2018年の法改正で規定された。
ただし、思想又は感情の享受する目的が併存する場合は、原則通り著作権者の許諾が必要。また、いくつかの「ただし書き」にも留意。
2.AI生成・利用段階での著作物の利用
著作権侵害となるか否かは、人がAIを利用せず絵を描いた場合などと同様に判断される。
つまり「類似性」と「依拠性」がポイントになる。
類似性:後発の作品が既存の著作物と同一、又は類似していること
依拠性:既存の著作物に依拠して複製等がされたこと
私的に鑑賞するため画像等を生成するといった行為は、権利制限規定(私的使用のための複製)に該当し、著作権者の許諾なく行うことが可能。(AIを使用しない場合と同じ)
3.AI生成物は「著作物」に当たるか・著作者は誰か
AIが自律的に生成したものは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物に該当しないと考えられる。
(例)人が何ら指示を与えず(又は簡単な指示を与えるにとどまり) 「生成」のボタンを押すだけでAIが生成したもの。
これに対して、人が思想感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当し、AI利用者が著作者となると考えられる。
人がAIを「道具」として使用したといえるか否かは、人の「創作意図」があるか、及び、人が「創作的寄与」と認められる行為を行ったか、によって判断される。
※この点については、議論中で定まった見解はない模様。
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