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フェルメールの至高の風景画『デルフトの眺望』をマウリッツハイス美術館で堪能!

フェルメールの町デルフトから電車で30分もかからぬ距離にあるデン・ハーグという街。

ここにフェルメールの代表作『デルフトの眺望』と『真珠の耳飾りの少女』が展示されているマウリッツハイス美術館がある。

私がオランダにやって来たのもデルフトの町を見てみたいという思いもあったが、やはり1番は私の大好きな『デルフトの眺望』や、フェルメールで最も有名なあの『真珠の耳飾りの少女』を観てみたいというのがその最大の目的だった。

画像や印刷されたものですら圧倒的な美しさを感じられるのだ。それがオリジナルだったらどれほどのものだろう。そんな期待で私は胸がいっぱいだった。

デン・ハーグの街は事実上の首都と言われるように、ここに政府機能が置かれている。街も古くからの都として繁栄していて、小さな町デルフトと比べるとかなり大都会の雰囲気がある。

こちらがマウリッツハイス美術館。

美術館というよりも豪華な貴族の邸宅といった雰囲気。

入場してすぐの階段を上り、私は一目散にフェルメールの部屋を目指した。

コロナ明けの2022年の8月とはいえ、この美術館の目玉中の目玉というのにあまり混雑していないので驚いてしまった。

そしてお目当ての『デルフトの眺望』とも無事対面。想像していたよりも大きく感じられた。

これはもうさすがとしか言いようがない。予想はしていたがやはりオリジナルは一味違う。風景画の極みだ。

そして間近からこの絵を観てみると、絵の具の点が物理的にぽっこりと出ているのがわかった。

フェルメールは光の粒を実際に粒として描いている。フェルメールの絵画は平面ではなく、物理的に立体的な作品だった。絵の具をちょんと乗せて小さな山を作っているかのよう。そしてこの絵の具の粒に光が当たると、まるで絵そのものが光っているように見えてくるのである。

これは複写や画像ではなかなかわかりにくい。オリジナルを近くで観るからこそわかる立体感だった。

プルーストが『失われた時を求めて』で称賛した黄色い壁にもこの光の粒の立体構造がふんだんに利用されている。なぜこの壁が光り輝いて見えるのか、その秘密はこの立体構造にあったのだ。

また、この壁周辺の建物に暗めの色を配しているのもその効果のひとつかもしれない。色の対比や光の見え加減を徹底的に研究したフェルメールだからこその匠の技と言えるだろう。

それにしても素晴らしい・・・

私はしばらくこの絵の前を離れることができなかった。

建物や水面の美しさに目が奪われがちだがこの雲もいい味を出している。この雲があることによって絵の奥行をさらに感じることができる。そして手前に描かれた住民たち。離れてみれば点にしか見えないくらい小さく描かれた彼らではあるが、不思議な存在感がある。彼らがいるかいないかでこの絵の「しまり」というかバランス感が全く違ったものになってしまうのではないかと思ってしまうほどだ。

また、水面に映る建物の影のなんと見事なことか。水面に反射する光の描写はうっとりするほかない。

この光の描き方は印象派のモネと通じるものがあるのではないかと「(13)印象派の始まり、モネの『印象・日の出』を観にマルモッタン・モネ美術館へ~私がパリで最も好きになった絵画」の記事でお話しした。

印象派の始まりとなった『印象・日の出』もオリジナルを近くで観てみると、まさに立体的に絵の具が置かれていることがよくわかった。

もちろん、時代も違えば場所も文化も全く違う両者だが、光の探究という点で非常に興味深いつながりがあることを『デルフトの眺望』を観て改めて感じたのであった。

次の記事ではこの美術館のもう一つの目玉、『真珠の首飾りの少女』をご紹介したい。


この記事は以前当ブログで公開した以下の記事を再構成したものになります。

また、前々回の記事ではこの『デルフトの眺望』のモデルになったデルフトの町そのものをご紹介しました。

ぜひこちらも合わせてご覧ください。

以上、「フェルメールの至高の風景画『デルフトの眺望』をマウリッツハイス美術館で堪能!」でした。

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