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2023.06.25

炎天下、とある行列に並んでいた。
場所はまあ家の近所というほどではないがそこそこ近くで、田舎ではないが都会とも言えない、所謂お手本的な「郊外」である。
国道を横に入ったところにある、住宅街の遊歩道みたいなところに列が形成されており、道の両脇では草木が鬱蒼としている。こんなに並ぶとは正直思っていなかったので、なにか時間を潰せるものを持ってこればよかったなと少し後悔した。

手持ち無沙汰で周辺を見回すくらいしかやることがなかったのだが、そのうち意外にもいくつかの発見があった。

まず、低木。決まった種類が均等に植えられているわけではないようだ。わたしが分かる範囲ではネムノキ(オジギソウみたいな葉とピンク色の糸の束みたいな花でわかった)、アジサイ(「花を切って持って行かないで」という看板があった)、ツバキ(緑色の実がなっていた、絞ると椿油が出るやつ)、クチナシ(バラみたいな重なり方をしている白い花弁、強い花の匂いがした)が点々と植えられていた。

それから雑草。花を咲かしているのがいくつかあった。ムラサキカタバミ、ドクダミ、ヒメジオン。小学校の校庭の脇にたくさん生えていたので、今でもなんとなく愛着がある。

あと虫。チョウは2種類見かけた。アゲハチョウとアオスジアゲハ。日陰にまだ残っていた水たまりで水を飲んでいた。アシナガバチ、こいつは大きくてめちゃくちゃ怖いのではやくどっか行けと思っていた。ごめん。
低木と低木の間に見事な蜘蛛の巣があり、真ん中にはコガネグモが鎮座していた。多分6センチくらいはあった。周りの人があれジョロウグモ?と言っていたが、後ろの4本の足が黒いこと、蜘蛛本体の斜め四方にギザギザの白帯(巣に蜘蛛が施す装飾、体を隠すためとか獲物をおびき寄せやすくするとか用途は諸説あるらしい)があったため、恐らくコガネグモだろうと判別した。専門家ではないので完全に自分の経験則。多分厳密には違うのかも。
列が動くたびに前を通るほぼ全員が蜘蛛の巣をガン見していたので、こんなにジロジロ見られて気の毒に…と思っていたが、すごいねとか綺麗だねとかいう声も案外聞こえてきた。放射状に張られた糸が太陽の光を反射してキラキラ光っており、確かに美しかった。

結局1時間ほど並んだが、こんなふうに観察していると時間はかなり早く過ぎた。同伴者がそういう話を一緒にできる人だったので、退屈しなかったというのもある。わたし一人だったらキツかった。

都市部に緑が増えるのはいいよね、という感想とこの横のマンションに住んでる人虫えぐいやろな、という感想が同居している。台無し。

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