#2 お隣の林檎さん
お隣にとても気になる方が住んでおられます。
お見掛けしても会釈や言葉を交わすことはなく、わたしは仏頂面の電柱のような通過点にすぎません。
なぜでしょう。自分でも理解できないほどクールなあなたに惹かれます。
いったい何を放っているのですか?その得体のしれない何かに引き寄せられるよう、お知り合いになりたい願望が沸いてくるのです。
『まずは会釈から!』と謎の気合いが満ちている日、そんな日に限って会えないのは何故ですか?不運な自分がほんとうに格好悪い。
そもそも会釈するだけでしょ?いちいち大げさすぎない?って思われる方もいらっしゃるでしょう。
でもね、解ってほしい。
\無視されたらどうしよう/ です。
無視という名の一撃は完全復活するまでに時間を要するから、できることなら食らいたくない。傷つきたくないから防御するの。
私の防御パターンはいつも同じ、人との関わりを最低限にすること。
しかし、今回ばかりは何かに引き寄せられるのでいつまでもしりごんでばかりはいられません。
謎の気合いが舞い降りるその日までに準備をしなければ。
たとえば、
・適度な距離間で一瞬足を揃えて立ち止まること。
・ペコペコ頭を下げることは厳禁、ベストな会釈の角度を探ること。
・自然な柔らかな笑顔で。
この3つ目の笑顔が厄介で・・・わたし笑顔の才能を持ち合わせていないのです。
まず表情筋が随意筋であるかぎり鍛えていかねばなりませんよね。
これが想像以上に痛みを伴うものでビビっています。
改めて書き出して見ると、1秒程度のアクションのためにこのような技術が必要なのね。正直自信はないが。
林檎さん、わたしあなたに会釈します。
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