さりげなくイケてる
ラーメン屋に並んでいた。
お待ちリストに名前を書く。私たちの前には、おじさんがひとり。そして私たちふたり。お次は、髪がハイトーンカラーの女子ふたり組み。
とりあえず入り口に並んでいる椅子に座る。
おじさんはひとりで前のお店をのぞいたりして、ウロウロしながら待っていた。
しばらくすると、前に並んでいたおじさんと思われる名前をスタッフが呼ぶ。
「◯◯さまー!」私たちもキョロキョロとあたりを見わたす。
あれ、いない?
いつの間にかどこかへ行ってしまったようだ。
結構、待ってたからね。
というわけで、繰り上げ当選の私たちが案内される。「こちらの席へどうぞ」と2名掛けの席にご案内された。
しばらくして同じスタッフの子が戻ってきて、となりの4名掛けの席を指して「こちらの席にしますか?」と言ってくれた。
「良いんですか?」と聞くと「結局、次の方をこちらにご案内する事になるので。しかも先に並んで頂いてたし、せっかくならどうぞ。」ということでした。
じゃあ遠慮なくと、移動する。
少しして予告どおり、となりの席に次の女子ふたり組みが案内されてきた。
みんな無事にラーメンを食べていた。
スープが飛んだのか、となりのふたり組みの女子のうちひとりが席を立った。ティッシュみたいなものを、近くの空いている席からこっそり持ってきて、手を拭いたりしていた。
すかさず「これ、どうぞ。」と言って、おしぼりをふたつ差し出す。
それはあの子だった。
私たちを席にご案内してくれたスタッフの男の子。
やるね!
全てがさりげなくて、自然だった。
ほんの些細なことだけど。
最終的に、その一言が言えるかどうかで、この後の展開は変わると思う。
仕事だからというよりも、人がどうして欲しいか、自分がどうしたらいいのかをちゃんと知ってる。
学生っぽいアルバイトの男の子。
でもそんな事は関係ない。
だってこれ、ラーメン屋で求められる能力じゃないし。
いろんな事に気づける能力に、気づいた日でした。
お立ち寄りいただき、ありがとうございます。