見出し画像

名古屋と神戸、再会の旅

ふたたび船の旅です。

今回は年上の友人たちを訪ねる旅です。


【フェリーにて】

仙台港~名古屋港は21時間。9,100円なり。
姉妹艦「いしかり」とすれ違う。
今回もフェリー読書。「旅をする木」は作者が描く人や自然との素晴らしい時間が、静かに染み込んでくる。若い頃に読んでいたら大きな影響を受けていただろう。「日ソ戦争」は1945年8月8日から9月中旬まで行われた激闘の全貌。地政学的にソ連が大きな利益を得て、アメリカと中国国民党がわりを食ったことがよくわかった。武装解除された日本軍の大量の武器は中国共産党に渡った。
知多半島あたりで朝焼け。

【名古屋へ】

名古屋と言えば、トヨタとつボイノリオ。「名古屋はええよ、やっとかめ」はサラリーマンの時代のカラオケのオハコでした。
道が広いがね♪
モスラ♪は不在…。
基本歩きですが、しんどいときはコミュニティサイクルも使用。165円/hなり。

【トヨタ産業技術記念館】

トヨタ産業技術記念館は、トヨタグループ発祥地に作られた。名古屋駅から徒歩20分。入場料は1,000円。
この地に豊田紡織本社工場があった。
祖業の繊維用機械の展示館はかなり充実。
自動車館へ。軍の要請もあり、まずはトラックから生産した。
1966年発売のカローラは亡き父の愛車だった。「三角窓」が懐かしい。
初代プリウスはサラリーマン時代の営業車。2000年に九州内を走りまわりました。定期車検に出したら1ヶ月以上返却されなかった。エンジンや車体の消耗具合を徹底的に調べていたようだ。
いい写真です。
マンガ「劇画 トヨタ喜一郎」は帰りの船で読む。600円。

「日本の道路という道路がアメリカ車に独占されて その大きな利益はすべてアメリカ本国に持ち去られ アメリカをもうけさせているだけだ! これでは自動車工業ばかりか それにともなう関係部品工業が日本ではまったくそだたなくなる!」

「劇画 トヨタ喜一郎」木本正次 影丸譲也

【どて焼 懇親】

17時に名古屋在住のMさん(67歳)と合流。どて焼屋に連れていってもらう。Mさんは「あいそもないし、味も好き嫌いが別れるんだけど…」と心配していたようだが、店内の独特な雰囲気を含めとても気に入りました。カウンターは地元の人ですぐに埋まった。Mさんは大手企業の役員を退任後、嘱託で関連会社の工場の品質指導をしていた。現場の声を経営側に届け、両サイドからあつい信頼を得ていた。昨年契約が切れたが「最近また声がかかりました。また月に一回は宮城と岩手に行けます」と嬉しそうにしていた。どて煮をつつきつつ、来年の東北のイワナ釣りや北海道のニジマス釣り計画を話し合った。
店内は撮影不可だったのでチャットGPTに依頼。似て非なる食いものだが、なぜかカウンターの感じは酷似。どて煮、みそカツ串、赤ウインナー、赤みそタマゴはお勧め。

【神戸へ】

三ノ宮駅前から山を目指す。
上品な佇まい。
路地裏でにゃんこと戯れる。
迷路のような坂道に異人の館がたくさん残っていた。

【長崎のパン屋さん】

さて、この夜はベーカリーのオーナーWさん(62歳)と6年ぶりに再会。三ノ宮駅前の焼鳥屋へ。
Wさんは長崎で石窯を使いパンを焼いている。薪割りも自分でやっている(撮影2018年5月)。
石窯内が高温になったら薪を取り出して、パンを入れて焼く。クロワッサンの生地に練り込む牛乳は、コクを出すため窯の中で10%ほど水分を蒸発させて濃度を高めていた。
それでも納得がいかず、乳脂肪豊富な牛を5頭買い、知り合いの畜産農家に飼育してもらっている。「やりたくなったことを優先してしまいます。採算度外視になるから、全然儲かりません」と言っていた。写真は内部にまでよく火が通ったバゲット。

【フロイン堂へ】

翌日はWさんの師匠のHさんも合流し、阪神電車で岡本駅へ。
Hさん(77歳)は東京の虎ノ門の老舗ホテルのパン厨房に勤務。30代になると、現状のパン作りに飽きたらなくなり、家族4人を引き連れ2年近くパリでパンの修業の旅に出た。いまはふるさとの五島列島で朝からビールを飲む日々を送っている。
私にとってHさんはただの飲み友達なのだが、パン業界ではかなり有名な人らしくパン店に行くと、気さくなキャラクターも相まって大歓迎される。
「フロイン堂」は手捏ねでパンを作っていることや、80年以上使っているレンガ窯で全国的にも有名らしい。ガラス窓に年季の入った「食パン売り切れ」の貼り紙があった。それを見て、20年以上前にテレビでみたことを思い出した。確かおじいさんが大きな木の桶に入ったパン生地を全身を使って捏ねていた。
ご厚意で半地下にあるレンガ窯を見せてもらう。戦時中は薪を使っていたが、宅地化の事情もあり、いまはガスを使用。そこにはテレビで見たおじいさんが居た…。年季の入った白い帽子を被り、パン生地を両手でクルクル丸めているではないか。「お歳はおいくつですか?」と聞くと「最近92歳になったばかり」とのこと…。
おじいさん(竹内さん)は「本当は薪の窯に戻したいです。やはり熱の通りが違うんです。いいパンになります」、「パンは毎日触ってないとだめです。パン作りは私の生き甲斐です」と言った。となりに初々しい若者がパン生地をカットしていた。Wさんが「ひょっとしてお孫さんですか?」と聞くと「最近やっと手伝ってくれるようになりました」とのこと。ぜひご立派な四代目になって欲しい。ふたりが連携して作っていた「田舎パン」は帰途のフェリー内でひとつ頂いた。

【食べたものたち 名古屋編】

名古屋の円頓寺(えんどうじ)商店街の「はね海老」。
海老フライとカニクリームコロッケのB定食800円。味噌汁は赤味噌。
同じ商店街の「喫茶なごのや」。
名物のタマゴサンド。キュウリを細かくカットしたサラダ層があり、ボリュームの割りにはサッパリ食べられる。
名古屋駅の地下街にある「みそカツ双葉」が今回のベスト。意外にも味噌ダレが大好きになった。

【食べたものたち 神戸編】

1997年、全国にベルギーワッフルブームを巻き起こした「マネケン」が駅ガード下にあった。バターとアラレ糖が焼ける香りが漂う。
プレーン160円、チョコとメイプル180円、と今やお手頃な価格。ほのかに残るアラレ糖のガリガリ食感が懐かしい。27年ぶり。
神戸の老舗「にしむら珈琲店」は市内外に9店舗展開。
朝のトーストセット900円。ヒキが強いハードトーストが独特だった。コーヒーはやや酸味があるが濃厚さもある味。
三ノ宮の人気ベーカリー「サ・マーシュ」はお休みだった…。残念すぎる。
三ノ宮駅に近い「グリル一平」も休みだった。水曜日は休みが多いらしい。
三ノ宮サンプラザ神戸の「グリル金プラ」の名物「ハイシライス」…。
フロイン堂の「田舎パン」380円。ブドウとクルミがぎっちり入っている。祖父と孫が一緒に作っていた様子を思い出して味わいました。

今回はサラリーマン時代に仕事で知り合い、仲良くなった友人を訪ねる旅でした。

ひとつの人生を降りてしまった私の状況については、誰ひとり何も触れませんでした。
以前と同じように接してくれたことがとても嬉しかったです。

来年はHさんがいる五島列島の福江島に行ってみようと思います。

きっと満ち足りた時間を過ごせると思います。

いいなと思ったら応援しよう!