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サンバイオ新薬「アクーゴ」への投資

※この記事は医療従事者等有資格者が記載したものではありません。不備等あるかとは思いますがご了承ください。致命的な誤認等があった際はご指摘くださると幸いです。

こんにちは。KEYです。
まさか、初noteがハイリスク投資である新興バイオ企業の解説になるとは、因果なものです。
では早速参りましょう

アクーゴとはいかなる治療薬なのか

このたびサンバイオが条件付き承認を得た薬剤「アクーゴ」は、再生医療に属する治療薬です。
承認された効能は「外傷性脳損傷の慢性期における運動機能障害の改善」です。
ナンノコッチャだと思うので、小難しい話は抜きにすると
要は「過去の交通事故などで脳に負った重い障害を改善する薬」です。

この時点でとんでもないことです。
脳卒中を含めた脳機能障害の機能改善期間は約6ヶ月です。そこを過ぎるとどんなにリハビリを頑張ってもそれ以上回復しないと言われてきました。(障害固定という)
「慢性期」とは障害固定された以降の期間なので、脳神経外科にブレイクスルーを起こす治療薬なのです。
今回の臨床試験は受傷後12ヶ月を経過した18歳~75歳の患者を対象としているので、「6ヶ月が7ヶ月になった」というような矮小な話ではないことが分かります。

About SB623SB623について

当社が再生細胞薬としての製品化を目指すSB623は、一過性に遺伝子導入した成人骨髄由来の間葉系幹細胞を加工・培養して製造したもので、脳内の神経組織に投与されると自然な再生機能を誘発することで失われた運動機能の改善を促すことが期待されています。

SB623 | サンバイオ - 再生医療(再生細胞薬) (sanbio.com)


アクーゴ 今後の展望

https://www.sanbio.com/advantage/pipeline/

現時点で研究開発中も含めた期待される効能です。一番上の「外傷性脳損傷」が承認されましたが、同じ薬剤でこれだけの効能が期待されています。
私見ですが、脳梗塞、脳出血は当然のことながら、脊髄損傷に対してもいずれ承認されると思っています。

医療的は話なので飛ばしてくれてかまいませんが
 脳梗塞、脳出血の治療は時間との勝負です。処置が早ければ早いほど、機能は残せるし、回復の見込みもあるわけです。
しかし、素早い処置が可能な状態で搬送されてくる患者はごく一部で、多くの人には何らかの障害が残ってしまうのが現状です。
この治療薬がこれらにも承認されれば、時間の制約を大幅に改善できるだけでなく、治療法そのものが大きく変化するでしょう。

脳脊髄は神経組織なので、アクーゴの効能は理屈の上では脳外傷だけでなく脳卒中や脊髄損傷にもあることは、確度の高い期待だと私は思います。

投資家としての期待

今回、条件付きとはいえ承認が通ったことから、開発費の回収が見込めます。その上で新たな効能がこれだけ控えているといことは、サンバイオは当該薬剤に関しては壁を背にして戦える状況が整ったということになります。
仮に他全ての効能がなかったとしても、サンバイオは収益を積み上げることができるようになったわけですから、投資家は一定の安心感を得られるわけです。
また、今回の脳外傷や試験中の脳梗塞、脳出血は患者がいなくなる事はなく、希少な病気でも無いため継続的な収益が望めます。
日本では薬価引き下げの問題がありますが、全世界に患者はいるので市場規模は大きいと思います。

実現可能性のあるリスク

今回経過として、2024年3月に承認申請したものの却下され、継続審議になったことにより株価は垂直落下。
そして先日、6月19日に追加データを提出したことで条件付き承認となり、株価は暴騰していたったのですが。この「条件」とは何なのか。
昨今、条件付きになることは珍しいと言えば珍しいが、といった程度のものですが、サンバイオにつけられた条件の内一つは異例なものでした。

簡単に言えば
「治験で使った薬と販売しようとしている薬が同じものか分からん」
とのことでした。

治験(臨床試験)の結果を持って承認となったわけですが、何せ世界初の治療法なわけですから、審議会もかなり慎重な姿勢であることがうかがえます。
治験薬との同一性/同等性を示す追加データの提出を持って販売開始を認めるということで、承認されたのに販売できないのが現状です。
この状況もまた異例です。承認とはイコール販売許可であったので、流通させた上で追加データを提出させ、その後の継続販売の可否を判断するとかは割とあるのですが、これは・・・

つまり最もまずい事態は、この「同一性/同等性」が追加データでも認められなかった場合です。連日ストップ安は間違いないでしょうね。
これはバイオ企業投資におけるリスクの一つです。

バイオ企業への投資は何故ハイリスクか。それは臨床試験の失敗や承認が弾かれることで、研究開発が全ておじゃんになることが珍しくないからです。武田薬品の垂直落下は記憶に新しいかと。
バイオ企業への投資、特に販売実績のない新興バイオ企業への投資はギャンブルなのです。


バイオ企業投資の勝率の高め方

バリュー投資や一般的な成長株投資よりもギャンブル性は高いですが、勝率を上げる方策はあります。

1.臨床試験フェーズ3クリア時を狙う
臨床試験には3段階あり、フェーズ3をクリアして承認へと向かいます。
フェーズ3のクリア率は約50%。リスクをとれるならフェーズ3突入時でもよいですが、本物のギャンブルです。

2.適応拡大を狙う
すでに流通している薬剤に新たな効能を見出し、臨床試験を行う事が昨今ではよく見られます。前述したように企業は壁を背に戦えるので、失敗したときの急落が限定的になります。

3.適応承認時を狙う
今回のパターンです。販売実績のない新興バイオ企業への投資はこのタイミングが良いでしょう。アクーゴは販売許可されないという異例の事態ですが、通常は承認=販売なのでリスクは低減されます。ただ、リスクをとらないと言うことはリターンも少ないので、この時点では十分に株価は上がっている可能性もあります。

4.新薬の類似品の臨床試験フェーズ3突入を狙う
すでに流通した新薬は化学式をちょっと変えた物質での開発が進むことがあります。痩せ薬(肥満治療薬)が良い例ですね。
化学式を変えるので当然必ずしもクリアできるわけではありませんが、前例があるという意味で期待がかけやすいです。
また、医薬品業界は単純な先行者利益では推し量れないので、後から発売される薬剤でも十分にシェアを奪える可能性はあるのです。

臨床試験の情報は製薬会社のHPにありますので、ひとまず大手からのぞいてみるのもいいかもしれません。


最後に

骨太方針2024(経済財政運営と改革2024)より、日本のバイオテクノロジー市場は今後も盛り上がってくると思います。
リスクを上手く減らしながらバイオ投資を楽しんでいきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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