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天使のプレゼント マール王国物語 仕様調査

天使のプレゼント マール王国物語 とは?

2000年末にディスガイアシリーズでおなじみ日本一ソフトウェアから発売されたロールプレイングゲーム。
ミュージカルRPGを称するマール王国シリーズの3作目であり、1作目および2作目で語られなかったストーリーを補完する6話の短編を任意の順番で遊ぶことが出来ます(星のカービィSDXのようなシステム)。

リトルプリンセス マール王国の人形姫2 より『プリンセス・クルル』

Steamで謎に爆安のバンドルがあるのでサマセの内に買いましょう。買ってください。フレンドの人は欲しければ送ります。

天使のプレゼントはディスガイア-1だった

突然ですがこのゲームの第5話に存在する裏ボスの話をさせてください。こいつは普通にプレイしていればこの程度のステータスである自キャラに対して

このような全体技を振ってくる外道なのですが、

彼の真に外道な点は「(5話の)最序盤にのみ挑戦可能」かつ「挑戦にあたってレベルの制限がある(主人公のレベルが20以下でないといけない)」ところにあります。事実上主人公を戦闘に参加させることが出来ないうえ、エンカウントする敵のレベルが低いために使えるキャラのレベル上げすら満足にできないということですね。
よって通常のプレイでは以下のような手順を踏む必要があります。

  1. 主人公を戦闘パーティから外して5話をクリア

  2. クリアデータで再度5話を初めからプレイ(このゲームは話ごとに強くてニューゲームが可能(後述))

  3. 育った主人公以外のキャラで裏ボスを撃破

  4. そのまま5話をクリアしてクリアデータから6話へ進む

さて、ここで問題になってくるのが1です。このゲームは前述の通り短編集となっており各話ごとに名前もついているのですが、この話のタイトルは『天使がくれた物語』。そうです。表題作です。内容としても1作目主人公コルネットの母、そして2作目主人公クルルの祖母にあたるシェリーの生涯を描いたエピソードになるわけですが、そんな大事なストーリーを主人公(シェリー)抜きで進めていいのでしょうか?いや、いいはずがありません。

なんとかならないかとインターネットの海をさまよっていたところ、実は今作はやり込みの要素が強く、育成次第ではゲームバランスを崩壊させることも可能であるというという旨の記述を見つけました。本当か?
ですがこれが本当ならこのような手順が採れます。

  1. 1~4話のいずれかでバランス崩壊クラスまで育てた低レベルモンスターを作成する

  2. 5話の冒頭で1のモンスターを召喚し、シェリーをパーティから外してある程度までレベル上げ(他の話から召喚できるのは各話の主人公と同レベルのモンスターまで(後述))

  3. 裏ボスを倒し、シェリーをパーティに戻して5話を進める

この記事が存在することからお察しいただける通り、結論から言えばこの作戦は無事成功します。しかし絶妙に古く、絶妙にマイナーで、そして絶妙に複雑なゲームシステムを持つ本作の情報は決してインターネット上に多くありません。この手順を通るにあたって事前に自分で手を動かしてもろもろの仕様やデータを検証し、情報を整理する必要がありました。
そしてそんな中で気が付いたのですが、

  • 壊れた敵にはこちらもぶっ壊れをぶつけて何とかする

  • 圧倒的な運ゲーを圧倒的な試行回数で何とかする(「超高速運ゲ」と勝手に呼んでいます)

というスタイルが非常にディスガイアシリーズを彷彿とさせるんですよね。まずディスガイアシリーズには精神的前編である『ラ・ピュセル』というSRPGが存在しこれが巷ではディスガイア0と呼ばれているわけですが、さらにその前に発売されたゲームである本作に関してもディスガイア-1を名乗っていいのではないかと思いました。

ちなみにあくまでもこのやり込みは「裏ボスを」「特殊な条件で倒したい」という縛りプレイのために必要な行為であって、通常プレイでここまでのことをする必要はありません。
そもそも前作および前々作にいたっては難易度「むずかしい」を選択してなお易しい程度の戦闘バランスであり、あくまでも本シリーズはストーリーとミュージカル、そして溢れ出るかわいいを享受するためのゲームです。

OPから相棒にどつかれる1作目主人公
敵勢力も歌い踊る

残念ながら本シリーズ以降ミュージカルRPGというジャンルが日本に定着することはありませんでしたが、本当に楽しく素晴らしいシリーズなので皆様もぜひこの機会にプレイしてみてください。

というわけで日記はここまでにして以下からは検証したデータおよび仕様を公開していきます。

キャラクターの分類

キャラクターは大きく「人間」「人形」「モンスター」の3種類に分けることができる。

人間/人形

ストーリー上で仲間となる固有キャラ。クリア後に再び同じ話を開始した場合クリア時のレベルおよびクリア時に装備していたアイテムが引き継がれ、レベルを下げる手段は存在しない。
また人間内でさらに以下の分類が存在する。

・人間: 特性なし。モンスターをパートナーとすることができる
・人形使い: モンスターに加えて人形をパートナーとすることができる
・魔法使い: モンスターと同様の手順(後述)で魔法を覚えることができる

モンスター

戦闘後に一定の確率で仲間となる汎用キャラ。ボスおよび大型モンスター以外の全てのモンスターが仲間になる。各話のクリア時に所有する全てのモンスターが共有データにストックされ、他の話において引き出すことが可能。ただし引き出すことができるのはその話の主人公の引き出し時におけるレベルと同レベルまでのモンスターのみ。

内部分類として「ニャンコ系統」と「一般系統」が存在する。

魔法の覚え方

一部のモンスターが覚える固有技を除き、全てのモンスターが全ての魔法を覚えることができる。手順は以下の通り。

  1. 各魔法に設定された必要な魔法属性値およびレベルの条件を満たす

  2. 該当の魔法を戦闘中に使用し、スキルレベルを1以上にする

(詳解)
本作では魔法を「使用できる」状態と「覚えた」状態のあいだに隔たりが存在します。
まず必要な条件を満たすことで該当の魔法が使用できるようになり…

「使用できる」状態

その間にスキルレベル(画面右下に表示)を上げることで条件を満たさなくなったときでも常時使用できる状態になります。

「覚えた」状態

これが魔法を「覚えた」状態です。

魔法属性

画面右上に表示されているキャラステータスの一種で、装備品とパートナーによって変動させることができる。各魔法に必要な属性値は以下の通り。

火/水/風/地/聖/魔/雷
○○(単体低威力): 1
○○ボンバー(全体低威力): 2
メガ○○: 3
メガ○○ボンバー: 4
ギガ○○: 5
ギガ○○ボンバー: 6 (+要Lv30)
最強魔法(全体高威力): 8 (+要Lv50)
属性神召喚(全体超威力): 12 (+要Lv70)

回復
ヒール: 1
メガヒール: 2
ヒールボンバー: 2
ギガヒール: 3
メガヒールボンバー: 3
ギガヒールボンバー: 4 (+要Lv30)
きゃろる(全体蘇生+全回復): 7 (+要Lv50)

補助
チャーム(全体混乱): 1
スリープ (全体催眠): 1
クールダウン(全体攻撃↓): 2
アーマーブレイク(全体防御↓): 2
マフージ(全体沈黙): 2
ポイズン(全体毒): 2
ブレイブハート(単体攻撃↑): 3
マジックシールド(全体防御↑): 3
マジックアップ(全体魔攻↑): 3
ミラクルバリア(単体魔防↑↑↑): 7

また各魔法属性にはそれぞれ対応するステータスがあり、レベルアップ時は「キャラ固有またはモンスターランクに応じた成長テーブル + レベルアップ時の属性値 + 乱数」によってステータスが上昇する。

火: ATK
水: DEF
風: SPD
地: INT
聖: HP
魔: SP

モンスター育成

女神像からモンスターを離脱させるとその数、ランク、レベルに応じて様々な対価が得られる。

その中から「『別のモンスター』がほしい」という選択肢を選ぶと、離脱させたモンスターの能力を引き継いだモンスターを入手する。この操作を繰り返すことによって強力なモンスターを育成することができる。

引き継ぎ要素

レベル
新たなモンスターは離脱させたモンスターの平均レベルに以下の倍率をかけたレベルを持つ。
2体離脱の場合 → 2/3
3体離脱の場合 → 3/4

技(魔法 + 特殊)
新たなモンスターは離脱させたモンスターのうち最もレベルの高い者覚えていた(≠使用できる)技を固有技含め全て引き継ぐ。他のモンスターが覚えていた技は無視される。

魔法属性
新たなモンスターは離脱させたモンスターのうち最もレベルの高い者の魔法属性を引き継ぐ。加えて他のモンスターの基本属性、および新たなモンスターの基本属性が+1される。

名前の右側に表示されているアイコンが基本属性

(詳解)
・Lv3 サボサボ(基本属性: 炎) 炎1 水-1
・Lv1 カヘル(基本属性: 水)
・Lv1 ゼリー(基本属性: 地)
の3体を離脱(以後便宜上「合成」と呼びます)させ、
・エリンギャー(基本属性: 地)
を入手した場合を考えます。
このときベースとなるのはレベルが最も高いサボサボなので、
(炎1 水-1)から
 → カヘル分を加算(炎1 水0)
 → ゼリー分を加算(炎1 地1)
 → 合成先のエリンギャー分を加算(炎1 地2)
そして最後に合成先モンスターの基本属性の反属性を-1という処理が入り、最終的なエリンギャーの魔法属性は
(炎1 地2 風-1)となります。
なお処理の途中で4以上になった値はそれ以上の加算処理が行われません。よって最終的に全ての魔法属性を4にしたい場合、最後に入手するモンスターは基本属性がである必要があります。

反属性一覧
火 ⇔ 水
風 ⇔ 地
聖 ⇔ 魔

説明が煩雑になるのであえて解説を省いていましたが、回復および補助属性(アイコンで言うと砂時計マークとハートマーク)については最もレベルの高い者の値をベースにランダムで-1~+1されます。これはこれらの属性を基本属性として持つモンスターが存在しないことに起因する仕様と思われますが…。

種族

モンスターは種族ごとに基本属性とステータスの成長率が決まっており、この成長率が高いことを指して仮に「ランクが高い」と呼ぶ。魔法属性が全て4の低ランクモンスターより全て0の高ランクモンスターの方がステータスの伸びは良いが、その分女神像の奇跡コマンドにおける出現率は低い。

エリンギャー系統:
 エリンギャー(地)、どくキノコ(風)、トリュフ(聖) …
ドラゴン系統:
 低ランク帯: ぷちファイア(火)、ぷちダーク(魔) …
 中ランク帯: ドラゴン(無)、アイスドラゴン(水) …
 高ランク帯: ティアマット(雷)、ヤマタノオロチ(地) …

エンカウントしたモンスターに関しては、基本属性と同じ魔法属性の初期値によってランクの高低をある程度判別することが可能。

マーメイドは水1だが…
同系統のアリエルは聖の値が3なので高ランクだと分かる

装備厳選

女神像の奇跡コマンドではモンスターの他に装備品も入手することができる。各装備の出現率には以下の要素が影響する(検証中)。

  • 奇跡コマンドを実行する話

  • 離脱させるモンスターの

    • 種別(系統)

    • ランク

    • レベル

第3話(ニャンコが消えた日)1周目で入手可能な有用アイテム

武器
風神のつるぎ:
 ATK 140 / SPD 40 / 風1
雷神のつるぎ:
 ATK 140 / SP 40 / 雷1
サボテンのつるぎ:
 ATK 150 / HP 50 / 地1
クルセイド(レア):
 ATK 160 / 他全 30

防具
風神のヨロイ:
 DEF 115 / SPD 40 / 風1
雷神のヨロイ:
 DEF 115 / SP 40 / 雷1
サボテンのヨロイ:
 DEF 125 / ATK 50 / 地1
聖なる守り(レア):
 DEF 140 / 他全 30
マジカルベスト:
 DEF 48 / SP 30 / INT 30 / 魔法属性全1
大賢者のローブ:
 DEF 96 / SP 40 / INT 40 / 回復1 補助1


天使のくつ:
 DEF 60 / SPD 120 / 水2 風2 聖2 回復2 火-1 地-1 魔-1 補助-1

アクセサリー
明鏡止水の極意(レア):
 消費SP60%減
ドリアンG:
 エンカウント率低下
※ フェロモンXなど「アアアアA」系統のアクセサリーはニャンコ系統を使用することで出現率アップ

おわりに

こういう仮説検証みたいなことをゲームでは久しぶりにやりましたが、昔はある程度どんなゲームでもこういうことしてたな~と懐かしい気持ちになりました。たまにはこういう遊び方もいいですね。
最後にこれまでの情報を駆使して育てたご自慢のモンスターを見せびらかして結びとさせていただきます。

名前厳選もした


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