涙で金魚を飼う
平日は水中に潜る。
夜、必死に息継ぎして
週末に向かって泳ぐ。
社会人一年目。
働いている時間は、自分がいなくなってしまう。
残業続きの平日がやっと終わって
布団についた金曜日の夜
額にじんわり汗を感じて、
生きていることを思い出した。
必死に自分を取り戻すために
スマホの中を探すけど、
私が探してる私は
いまいちしっかり会話をしてくれない。
仕方がないから
私が好きだった(今も好き)曲をかけながら天井を眺める。
止まらない。
目から水分が溢れる。
平日に溺れて、遂に溢れた。
ただ水を飲みすぎちゃっただけよ、
と言い聞かせる。私に。
あのバンドマンが、
いつか2人で金魚を飼うために涙を取っておくって。
金魚が泳げる。涙を溜めれば。
私も泳ぐ。陸に上がれるように。
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