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朝まで打ち上げしよう

割引あり

 もうすぐ出会いと別れの季節、春がやってくる。春夏秋冬なんて、youtubeやラジオの作家の企画で使われてからハッと気づくくらいそっちのけで生きている私たちでも、否応なしに出会いと別れの季節には直接ご対面しないといけない。特に別れなんてものはもともと苦手であり、春の別れの歌特有のスローテンポなビートにも、別れの要素を入れるためにテレビで差し込まれる淡い学校の絵にも、レミオロメンにも、ちょっとやめてくれと言いそうになる。

 にぼしいわしが大阪でライブを円滑に進めるために集合してもらったにぼいわスタッフからも、1年間くらいやってきたライブセビザールからも、この春という法則に則って別れが訪れた。就職を機にライブスタッフを卒業するのである。

 にぼしいわしスタッフをまず説明すると、我々がまだ大阪で居座ろうとしていたころ、我々のライブごとに毎回スタッフを募集してライブをすることは大変なので、一つのチームを作っておこうということで集まってもらった。最初はSNSで募って、結構な人数が入ってくれたが、解体や試行錯誤を経て、今のメンバーになった。ライングループがあって、○月×日にカギョウがあります〜と投げておけば、当日の受付やPAの配分を分けて、あとは勝手に全てやってくれる。私がやることは各芸人とのやりとりと箱をとって、泊まりの人がいればホテルを取ってもらうようにお願いしたり、当日の音響用の音や香盤表を送ったりくらいで、カギョウみたいなシンプルなネタライブであればもう何も言わずとも彼女達がいれば勝手に出来上がっている。現状5人くらいいて、PAや受付、単独ライブの映像撮影などなんでもござれの素晴らしい面々である。スタッフさんによって個性があって、不足分は補い合っているのだが、ライブに愛があるのはみんな変わらない。私とライブに対しての熱量が一緒で、ライブに対しての価値観が一緒である。これは同じチームで働くときには、本当に大切なことであり、「お客さん的にこういうライブになると嫌なのではないか?」とか、「演者がこうされるとやりにくいのではないか?」と思う価値観がずっと一緒である。こんな集団は奇跡に近い。あと、なぜか、にぼしいわしみたいなサイズ感の女ばかりで、黒づくめの小さい女たちがライブの設営を懸命にしている姿はかなり変で面白い。

 こうやって関わる中で、我々芸人は面白いネタをすれば、お客さんが笑ってくれる。面白いライブをすれば主催として褒められるから報われることはあっても、お笑いのスタッフさんというのはつくづく報われにくい部分があるのではないかと思っている。

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にぼしいわしです。いつもありがとうございます。みなさまのサポートが我々にライブを作らせ、東京大阪間を移動させます。私たちは幸せ者です。