適量を知る
うちの近所のパン屋さんの話です。
私が住んでいる埼玉の風景には似つかわしくない、完全にイギリスのベーカリーの風貌をしたそのパン屋さんは、駅から徒歩15分、人通りもそんなに多くなければ、車をわざわざ止めて買うにはいささか億劫な場所にあります。
さらにコロナ直前にオープンしたこともあり、当初は「そんなに長くはないだろうなあ」と思いながら眺めていました。
が、オープンしてから3年ほど経ちますが、今では毎日昼にはほぼパンが売り切れています。最近では事前に予約しないとパンが買えないくらいの人気ぶり。
パン屋として最高の仕事とは?
私の住むエリアは昔からのパン屋さんも多く、割とパン激戦区です。
にも関わらず、昼にはパンが売り切れてしまうこのパン屋さん、理由は当たり前だけどパンが美味しいからです。
私はこう(どう?)見えても一時期、パンを習い、狂ったようにパンを焼き続け、何なら天然酵母も作ってたくらいパンが好きな人間です。
色々パン食べ歩きもしているし、近所のパン屋さんは全部行ったけど、パンってどれもそこそこ美味しいんですよ。パンがマズイってこと、そうそうないじゃないですか。
でもね、このパン屋さんは一線を画しています。
パンの生地が圧倒的に美味しい!!!
今のところ私のパン生地ランキング1位です。(聞いていない)
ついでにパンの材料も北海道産小麦とか天然酵母とかあるけど、そこまでの大差はないと思うんですよ。最高の素材を使ったからといってそれを調理する人の腕もあるし、最高に美味しいものが出来るとも限らない。
だからきっとこのお店なりのこだわりとか手法とかがあると思うんだけど、こんなに美味しいパンなのだから、きっと色々研究したりしたんだろうなーと思うと目頭が熱くなるし(定期)一つ数百円でいいの?とも思ったりします。(職人に弱い)
美味しいパンを作る!シンプルだけど、ここに徹しているであろうこのパン屋が好きだ!(ただのパン好き、愛を語る)
1日2回まで
このパン屋さんは17時までの営業なんだけど、パンが焼きあがるのは朝と昼の2回。2回分のパンが売り切れると17時前のどんなに早い時間でも閉店となります。(予約の人だけは待っていてくれる)
前述のとおり、3年ですっかり人気のパン屋さんとなった今は、お昼に買いにいくとすでに売り切れ、閉店ということもあります。
カネゴンの私は割と最近まで、「閉店の17時までの間にもう2回くらいパン焼いても売り切れそうだし、2倍儲かるだろうに。なぜやらんのだろう?」と完全なる余計なお世話だけど思っていました。(何なら旦那にもそう思わん??てパン買いに行く度に熱弁してた)
だけど、今日このパン屋さんへ予約していたパンを取りにいったときに、急にハッとして、
このパン屋さん、自分が売りたい分だけ売ってるんだよなーって。
自分の無理のない範囲で美味しいパンを作りたい分だけ作る。自分が必要と思う分だけのパンを作って売る、ということだよな、と。
このパン屋さんは自分で作りたい、売りたい分のパンの量がわかっていて、パンで一儲けするとか、お金のためにやってるんじゃないんだよなあきっと。
私の適量は?
不意にそんなことを考えたのは、今の私が無理なく働いているからだろうなと思いました。(じゃないと、パン屋に思いを馳せるとか無かったと思うw)
時間にすると会社員の時から半分くらい。収入も比例して下がっているけどそれは今は良しとしています。これから上げられるようにすれば良いから。(これは私が頑張るところ)
100万円の売上を作るために働くのと、自分の生活には100万円必要だから稼ごう、というのは同じ100万円を得るのでも全然違う。
前者は今までずーーーっとやってきたので良いとして、次は後者のパン屋さんのように自分に必要な分、必要なだけ働くことにするために今の働き方を選んだんだったなーと美味しいパンを食べながら噛み締めているところです。パン美味しい。
※実際パン屋さんがどういう意向なのかは全くわからないので私の妄想です。
※今度お会いする人には、このパン屋さんのパンをお土産に持っていきます!
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