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デザインの深堀 Vol.7時計

毎週1つのプロダクトを深堀していく「デザインの深堀」。

更新が滞っていましたが、改めてスタートしていきます!

今回のテーマは「時計」
誰しも時について一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
そもそも時ってなんだ。1秒の長さって誰が決めたんだよ。タイムマシンってできるの?

私は常に時間を意識しながら生きているものの、時間そのものについて考える経験はあまりありませんでした。なので今回はその時間を司る時計について深堀していきます!


1.そもそも時間とは


時計の話をする前に時間の話をしようと思います。
しかし、これだけで本1冊じゃ収まらないくらいのボリュームになりますし
そもそも深く理解できていません…笑
なので宗教や哲学における時間、科学的な時間を解説していきます。

大辞林 第三版に解説
時間 
① 時の長さ。時の流れのある一点からある一点まで。
② 時の流れのある一点。時刻。
③ 時間の単位。


古代文明の宗教では、創造と破壊を周期的に繰り返す円環的な構造になっています。無限に反復するもので、永遠に続くものだと考えられていました。
仏教やヒンドゥー教などの哲学や東洋思想でも輪廻転生という考え方があります。
一方、キリスト教は直線的な時間感です。時間とは終末に向かって進んでいきます。その終末の時に最後の審判によって天国か地獄に振り分けられるというものでした。

続いてはニュートンの「絶対時間」とアインシュタインの「相対時間」を説明します。
17世紀になり正確な機械式時計が普及するにつれて、「時間は一定の速さで流れる」という概念が定着していきます。この概念を定着させたのがニュートンです。
彼は「空間はどこも均質で、無限に広がっている」「宇宙のどこも置かれても、全ての時計は、変化せずに同じ時間を刻む」と定義しました。

対してアインシュタインの主張した時間というのは、「時間の進み方は、どんな時でも一定ではなく、観測者によって異なる」というもの。
彼の理論をわかりやすくいうと、「止まっている人から見ると、光速で動いている人の時計が示す時間は遅れる」ということ。
鏡の思考実験が有名ですね。

ここまで書いた段階で、1秒の定義ってなんだろうと調べてみました。

秒 = セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の9 192 631 770倍の継続時間である。

だそうです皆様。


2.時計の歴史 機械式以前/以後


僕たちが日常的に使っている、文字盤のある時計。いわゆる、機械式時計が発明されたのは14世紀の初めです。15~16世紀になって機械式時計が各地の市庁舎広場や市場に建てられたことによって、市民は初めて1日単位あたり、1時間単位あたりの生活を意識し出したのです。
そして機械式時計以前には主に3つのものを使って時間を測っていました。
それは、日、水、砂です。
つまり日時計、水時計、砂時計の3つ。

まずは日時計。
今から6000年ほど前、人類が最初につくったのが日時計です。
地面に棒を立てて、太陽とその棒が作る影の位置で時刻を測っていました。
ちなみに、機械式時計が右回りなのもここからきているんです。
日時計はエジプトで発明されたもの。エジプトは北半球に位置するため、日時計の影の移動が右回りだったから今の時計の針も右回りになったんです!
そもそもなぜ右回りなのかなんて考えたことも無かったですが…笑

続いて水時計。他の2つと比べてもあまり聞いたことがありませんでした。
日時計は一定の速さで回転していきますが、太陽の出ない雨の日や夜は使えません。なので、いつでも時間を計れるように水時計が3500年ほど前から使われ始めました。仕組みは簡単です。
容器のそこに穴があいていて、水と入れるとだんだんと減っていきます。
その水の高さを容器の内側のメモリで測って時刻を知ったんです。

しかし、水時計は動かすとこぼれるし、蒸発や凍結などで天気によって正確さが変わってしまします。そこで発明されたのが砂時計。

砂時計は、砂が上から下へと細い穴を通って落ちることで時間が計れるもの。
持ち運べるし、ひっくり返して何度も使えます。
いつ頃から使われていたかは定かではありませんが、1500年ごろ船の中でよく使われていました。
※コロンブスが新大陸を発見したのが1492年。

それら以外にも燃焼時計というものがあるのをご存知ですか?
火をつけるとほぼ同じ速さで燃えるものを使った時計のことです。

例えば、お香の粉で線を描きその線の燃えた長さで何時になったかわかるようになるもの。ランプ時計と言って、火をつけるとガラスの中の油が同じくらいの速さで減るので残った油の量をメモリで読むものなどがありました。

そしてやっと機械式時計の登場です。
1300年頃に発明されたと言われる機械式は最初は時刻を示す針はありませんでした。重りが下に落ちる力を利用して動いており、時刻はかねの音で知らせました。
ちなみに最初の機械式時計は1日30分〜1時間もずれていたそう….!

一日の遅れが大幅に改善されたのは、地動説で有名なガリレオ・ガリレイが大きな発見をしたことがきっかけです。それは「ふりこは同じ長さであれば、大きくふれても小さくふれても1往復にかかる時間は変わらない」というもの。

このふりこの原理を使って、オランダの学者、クリスチャン・ホンヘイスがふりこ時計を作ったことによって、1日の遅れが2,3分になりました。

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正確な時間を計れるようになってきたので、次はそれを持ち運びたいという需要が生まれます。
持ち運び式には2つの大きな発明がありました。
それは、ゼンマイとテンプです。
ゼンマイは重りの代わり、テンプはふりこの代わりです。
ゼンマイを巻くと、ゆっくりとほどけるので、その力で時計を動かします。
テンプは揺れに強く、一定のリズムで振れるので持ち運んでも正確な時計が作れるのです。
テンプを発明したのもホンヘイス。彼はとにかく時間を正確に知りたかったのでしょうか。

「テンプ」と「ゼンマイ」を使う機械式時計は持ち運びが可能でずれも少ないとはいえ、1日で数秒はずれてしまいますしゼンマイを巻き上げないと止まっていまいます。
そこで1年以上正確に動き続ける便利な時計が発明されました。
これがクオーツ時計です。

クオーツ時計は「テンプ」の代わりに「水晶」、「ゼンマイ」の代わりに「電池」を使っています。クオーツは英語で水晶のこと。
最初のクオーツ腕時計は1ヶ月に5秒しかずれておらず、しかも電池で1年も動き続けてました。
ゼンマイ式時計で1日で数秒ずれていた頃と比べると革命的な進歩です。
現在世界で使われている時計の97%はクオーツ時計だと言われています。
さらにクオーツ時計を世界で初めて発売したのは、日本のセイコー。

ちなみにクオーツ時計より新しいものに原子時計があります。
これは数千万秒に一秒しかずれません。世界の時刻の基準にもなっています。

余談ですが世界で一番高い腕時計はGaff社のもので43億円だそうです.....。

3.まとめ


時を規則的に測る、正確に知るというのは人類にとって長年の課題でした。
太陽や月、星の周期を知ることで農作物を計画的に生産することができます。
星の位置や輝きによって、川の氾濫を予知していました。
つまり生きていく上で必要不可欠なものだったのです。

かつては征服の証として他国に自国の暦を使わせていました。つまり時を計る方法とは自分たちのアイデンティティーでもあったのです。

こうして調べてみるとあまりに当たり前に流れている”時そのもの”を、意識的に感じられるようになるかもしれませんね。


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