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私の原点

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NHKの取材者たちの「原点」はどこに?ルーツを語った記事のマガジンです。
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#ウクライナ

ロシアとロシア語を愛するあまりウクライナを避けようとしていた私が、現地の取材で見た戦争のリアル

ことし2月、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年がたったころ、私のスマホにメッセージが届いた。 彼女はウクライナ人。去年3月、私が隣国のモルドバでの取材中に知り合って、同世代ということもあって今もときどき近況を報告してくれる。 彼女と初めて会ったとき、私たちはロシア語で話していた。でも今は互いに英語しか使わない。 ウクライナでの取材中に目にした貼り紙が忘れられない。 学生時代に多くの時間をかけて学び、あれほど好きだったロシア語を使うのが、私は今でも少し怖い。

「幼稚園の地下シェルター」新人国際記者の私がウクライナで見た戦禍の国、日常のリアル

去年12月、国際部の提案会議に2本の取材提案を出した。 「ウクライナの兵士たちの心のケアの課題を探る」という提案と、もうひとつは私の前任地、福島県の子どもたちと、ウクライナの子どもたちとの手紙を通じた交流を取材するという内容だった。 取材提案を出したのはこれが初めて。 福島県から東京の国際部に異動して4か月あまり、国際情勢を3交代で24時間モニタリングする仕事にも慣れてきたが、海外の現場に行かずに情報だけで原稿を出し続けることに、何か違和感も抱くようになっていた。 だか