「マレーナ」神様、あと数年だけあの人を守ってください

イタリアに住む半ズボンの少年レナードが恋をしたのは、黒い髪を靡かせて、ヒールで街を歩く年上のマレーナだった。美しい彼女は町中の男から邪な目で見られ、町中の女からは嫉妬の噂で迎えられた。

映画は主人公の少年の視点で進む。だから少年から見るマレーナが全てで、噂の真偽はわからない。それでも、この街で生きるには美しすぎたのだなと思わせる。あの女は誰と関係があるとか下品だとか噂され、仕事を探しても見つからない。男の人は力になるといいつつも、職業の斡旋をするような力にはなれていないし、力になったと思ったら、マレーナの美しさを要求した。そして後半、生きていくために噂と同じ道を選択したマレーナを、さも当然と痛めつける人々。でも、誰もマレーナを救わない。力になるとささやいた人も。そして少年も、目の前でただ見るだけ。

辛くてやりきれないけど、ちょっとだけ救われる部分もある。でも誰にとっての救いか。視聴者か、マレーナか、少年か。

好きだったシーンは、題名につけたところ。少年が神様に、自分が大人になるまでのあと数年、マレーナを守ってと祈るシーン。

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