「アズールとアスマール」瞳の色が違うとしてもあなたたちはどちらも息子
目を閉じて生きる世界にしか見つけられないものがあった。けれど目を開いた世界もとても美しかった。
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アズールは乳母として、アスマールは母としてジェナヌに育てられ、喧嘩をしながら日々を重ねていく二人。ジンの妖精の話をきくのも、妖精を助け出して結婚するのも自分だと言い張っては喧嘩をした。
けれど、アズールには優秀な家庭教師が必要だと父は言い、別れの挨拶も出来ず、三人は無情にも引き裂かれてしまう。月日はそのまま流れに流れ、別れ別れで青年になった二人を風習が、過去が、昔のようにはさせてくれない。
ジブリ映画を借りてみるとたまに映画紹介で見かけることがあって、気になっていたのをようやく見れた。見てよかった。絵本を読むように彼らに夢中になった。
ジェナヌは奴隷とまではいかないけれど、あまり良い扱いは受けていなかった様子。それでも彼女は『二つの国を知った自分は二倍の知識がある』と語り、良い人もいたと言う。青い瞳のアズールを、息子と喜んでだきしめる。格好いい人。
で、ジェナヌは青い瞳は災いをもたらすというのを迷信とばっさり言い切るし、黒い猫だって恐れない。だからアズールを容易く受け入れる。
でも、この話をまとめて「迷信を信じることは目をくらますこと」としてしまうのは無理な話。何故ならジンの妖精がいるから。アズールもアスマールも、ジンの妖精を信じて冒険に出る。その冒険の中で蟠りが解けて、助け合い、信じ合い、尊敬し合う。
過去の伝聞を全て否定しきらないところに、この話の面白さがあるのかなと思った。
それから、姫の宮殿の描写が好きだった。白と黒で模様が不思議で。