叱ってはいけない

 数ヶ月前に、学校帰りの小学生がドブの蓋の隙間にプリントを落とし込んでいるのを目撃。初めはその少年が何をしているのかわからなくて、そのまま通り過ぎました。しかし後になって、あのように紙をドブに流したら、どこかで流れが詰まって大変なことにならないかと心配になりました。あの時少年を止めるべきだったと悔いました。その後、テレビで芸能人が「子供の頃、悪い点を取るとお母さんに怒られるので、学校帰りにテスト用紙をドブに捨てたものだ」と自慢げに語っているのを聞いて、なるほど、あの少年もそういうことだったのかもと思いました。
 そして先月、隣の奥さんに頼まれて近所のドブのような川のゴミ拾いをしました。普段はその奥さんが川に入って清掃しているのだそう。でも今、膝を痛めてしまっていてできないと言うので私が手伝うことになりました。実は私、運動神経がないので、川に下りたりするのは大の苦手です。それでも何とかゴミを拾って、道路に上がった途端に、下校してきた小学生二人組の男の子が、私の拾ったゴミをつかんで、何と!また川に投げ捨てたではないですか。私は怒りに燃えて、去って行く少年たちに「何するのよ!ゴミ捨てないでよね、川に!」と、怒鳴ってしまいました。二人は叫び続ける私を一回二回振り返りながらも、行ってしまいました。ホントだったら、呼び戻して、捨てたゴミを拾わせたいところです。しかし、そこで私は気付きました。時代が違う、と。もうそんな教育はしてはいけないのだと。こうやって子供を路上で怒鳴っていることさえ、私の方が罰せられるのだと。下手すると私の方が罪になるので、もう子供を怒鳴ってはいけないと決意。
 そしてその数日後、別の場所を歩いていたらまたもや、川に物を投げる子供を発見。この少年もランドセルを背負っているので下校途中です。子供を怒ってはいけないと決意したばかりなので、私は明るい声で「川に物を捨てないでね」と少し離れた所から声をかけました。しかし、せっかく優しく言ったつもりなのに、子供は驚いて、私に「気をつけ」の姿勢をしました。そして、「すみませんでした!」と頭を下げました。おどすつもりはなかったので、私はさらに笑顔で「何を投げたの?」と聞いてみました。「ゴミです」と言います。「もう捨てないでね、川が汚れちゃうでしょ」と言うと、また「すみませんでした」と頭を下げるので、路上で小学生をいじめているみたいになってしまいました。またもや。
 それにしても、どうして我が地域の小学生は私の前でドブや川に物を捨てるのでしょうか。

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