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どうして、こんなに愛おしいのか 「とりつくしま」東直子

夏空の、光の向こうに、ゆくね。

さわって、渉。

ぼく、いい子にしてるから。

夏が来るたびに、わたしを開いてくださいね。

もったいないことで、あります、小雪さん。

轟音が、わたしを通過していった。

おめでとう。

おれは、まぼろしのおれのために、懸命に働いた。


早く死んでしまった人と、取り残された人。どちらが辛いんだろう?

考えても考えても、答えは出ない。親子、恋人、師弟関係。よくも悪くも生活の一部となっていた人が、いなくなるということ、その喪失感に、わたしは耐えられるのだろうか?

私が使うマグカップに、おばあちゃんはいるのだろうか?

朝を伝える時計に、恩師はいるのだろうか?

わたしがもし、今死んだら、何に取り憑こうか?誰と日々を過ごそうか?

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