見出し画像

【Radio】徳を積む。(or not?)【『ラジオで語る昭和のはなし』】

こんにちは!
おひっこし前の家財(てほどのものでもない)整理中/もってゆけないものたちにさよならするたびに〈『感謝離』の尾藤イサオごっこ〉をしているのでなんだかハッピーですよ、ながおかです。

※『感謝離』とは…
尾藤イサオ&中尾ミエさんW主演のすてき映画さ!
ざっくり言うと、〈妻に先立たれた男性の回想と遺品整理のものがたり〉で(いかん、ざっくりしすぎた気がする)、中尾ミエさん演じるすてきワイフが生前、何かにさよならするときに「今までありがと!」ってお礼を言ってからポイするのがとてもキュートなんだ。たとえば穴のあいたダンナの靴下を捨てるときには、「パパの足がお世話になりました!」って言うのさ、すてきでしょ?

ついさっきも、ファスナーが開きっぱなしで閉まらなくなったチップ&デール柄の長財布に、「コロナ前、君たちと共にした買い食いのことは決して忘れないよ」ってささやいてからお別れしました。ファスナーが閉まらないお財布ってもう、かくじつに使いようがないんだけれど、愛着があるものってなんだか捨てがたくて、なんとなく引き出しの中にしまっておいたりしちゃってた。感謝離方式を採用するとね、それらの愛着が執着にかわるまえに、ふわりと手の中から放してあげられるかんじで、心地がよいです。
それもこれもすべからく、

※ 尾 藤 イ サ オ が カ ッ コ イ イ 。

おかげです!
(→異論は認めますがおそらく右から左に聞き流すかんじになります。)

■ (本題本題、)
中村メイコさんがパーソナリティの、TBSラジオ〈ラジオで語る昭和のはなし〉。
3月14日の放送は、尾藤イサオがゲストでした!

いやはや、あのね、これはね、おおよそ1時間近く、3人だけ(尾藤、メイコさん、石澤典夫さん)でのトークなうえ、レギュラーのおふたかたはこまやかにゲストに話題をふってくださるスタイルだったため、

※ 尾藤が喋ってる声を、ずぅっと聴いていられる!

という、ごほうび感がハンパない番組でした。
私個人に関して言えば、何に対するごほうびでこんなに幸せな思いができるのか、今のところぜんぜん心当たりがないので、おそらく前世でなんらかの徳を積んだものとおもわれます。そうとうの善行を為したものとおもわれます。ありがとう、前世のわたし!
…ちがうまちがえた、ありがとう、TBSラジオのみなさん!

あと、ほんらいであれば、わが生活圏ではTBSラジオは聴けなかったはずなので、
ありがとう、あたらしいぎじゅつ! というのも言っておかねばね。
ありがとう、radiko! ありがとう、エリアフリー!


それにしてもほんとうに、ほんとうに、尾藤イサオの声が、すきだ。

おはなししているときの尾藤の声は、あのパンチのきいた歌声から想像されるよりもいくぶん高く、だいぶん軽やかで、やわらかくて、やさしい。加えて、ときどきほんのすこしかすれるあたりが、最大級に艶っぽいとおもう。

その声を、ああすきだなあ、とおもうのと同時に、
その声が、歌声そのものとは重ならないことについて、
そうか、ああして歌われている歌たちは、このひとが才能とか努力とかをフルにかたむけて、いちから〈つくり出している〉世界なんだなあ、という感慨におそわれて、めまいがする。

この世界には、歌うためだけの声を、もっているひとがいる。

■(さてさて、)
ラジオでの話題はおもに、日本におけるロカビリーブームの頃についてで、
プレスリーに憧れて歌手をこころざした曲芸師時代のこととか、
尾藤からみても先輩にあたる(!)“ロカビリー三人男”(平尾昌晃さん、山下敬二郎さん、ミッキー・カーチスさん)のこととか、
いろいろ聞けてすごくすごく楽しかったのだけれど、それにつけてもね!

そうやって、自分がすきなものについて話しているときの尾藤の、こころから嬉しそうなことと言ったら、もう。
なんなの、天使なの、もうほんとに、なんなの、その愛らしさ!!!
こういう際には常套句として、〈少年のよう〉とか〈子供ごころを忘れない〉とか形容するのが穏当だとはおもうのだけれど、
こと尾藤イサオにかんするかぎり、わたしはいつも、ああ、ほんとにこのひとは、永遠に、

※ 〈男子〉だなぁ。

って、おもうのだった。

だってね、番組のはじめ、挨拶とか、自分のこどものころの話をしているときは、ちょっとおとなぶって(←ちがう。)ゆっくりおだやかに喋っていたのに、
プレスリーとか! ロカビリーとか! デビュー前に憧れのステージを袖から見ていた話とか! にさしかかったときの語りっぷりのイキイキぐあいときたら、それ、思い出話のレベルじゃないですよね? ついさっき起きたことくらいの熱量ですよね??っておもう。

ほんとうにすごくすごく好きなんだな、っていうのが、声からも口調からもふるんふるん伝わってきて、
ああもう尾藤さん、そんなにハッピーのつぶつぶを蒔き散らしては、そこいらじゅうのひとが幸せになってしまいます、世界平和に貢献してしまいます、もしかしたらノーベル平和賞的なものだって受賞しちゃいかねませんよ、待って待って、それはさすがにどうかとおもう、だって村上春樹だってまだもらってないんだもの!!
…ていうふうに、私サイドが混乱するから、すこしだけ危険なのだった。(知らんがな。)


声はもちろんだけれど、尾藤イサオの言葉のえらび方も、すごくすごく好き。
今回もね、番組おわりにスポンサー企業からのプレゼントを受けとるのに、〈ちょうだいいたします〉、という表現をつかっていたりして、そういう言葉の出され方に、丁寧さと同時に、渡世の深みというかひととしての歴史というか、が、にじんで聞こえるような気がして、ちょっとドキッとした。

尾藤イサオというひとの話しぶりは、おせじにも理路整然とは言えないんだけれど、
いっけんとっちらかっているように見えて、きちんと結びまで聞くと、いろんなところにとんでいった枝葉がぜんぶひとつのテーマに収斂してゆくことがわかる、というスタイルになっている。
なので、途中でさえぎって自分の言葉を挟んじゃうタイプの相手のときには、
 (また、尾藤が礼儀正しく道をゆずってしまうものだから)
ん、このひと何が言いたかったのかな?てかんじになってしまうことがある。
そういうとき、「さいごまで聞いてよ!」っておもうことも、まあたまにはあるんだけど、どちらかというと、〈あ、尾藤ったら、また道をゆずっちゃってる〉っていうかんじを、うふふと楽しむのもファンとしての醍醐味かなとおもう。

でね、その点、〈ラジオで語る昭和のはなし〉は、パーソナリティの中村メイコさんも、パートナーの石澤典夫さんも、すごく合いの手じょうずで、尾藤のおはなしの「ひとかたまり」が終わるまで、きちんと聞かせてくれるので、とっても嬉しかったのだった。

■(言葉えらび、といえば、)
ロカビリーブームのあと、ビートルズの来日で日本の音楽界のムードが一気に変わったよね、という話題のときに、メイコさんが、「そういう、(音楽の流行の)リズムがあるのよね」っておっしゃった。それ受けて、尾藤イサオは、

※ 《そう、地球が回ってるリズムですよね》

と。言った。のだ。
あの、これ、決めゼリフぽく言ったんじゃないんですよ。ふつうに、さらっと、ふわっと、〈あいづち〉として出したんです。“同意です”、という以外の意図を含まない声量とタイミングで。
これまでに、こんなにカッコイイ《 yes, and 》を聞いたことがあっただろうか、とおもう。

プレスリーに憧れて、ロカビリー歌手をめざして、ウェスタンカーニバルで賞をもらって、っていう時間を過ごしてきた、当時の尾藤イサオにとって、ビートルズの出現は、ある意味ロカビリー王朝の終焉を意味してもいたわけで、それについては、やっぱりくやしかったんだと言う。プレスリーみたいなんじゃなきゃだめなんだと、おもったって言う。
だけど、そういうことのすべてを指して、それが《地球が回るリズム》なんだとも、言う。
そういう、情熱と気負いのなさの(不自然でない)共存が、ものすごく尾藤イサオらしくて、かっこよくて、私はちょっとだけ、泣きそうになった。


そうそう、番組内では、ウェスタンカーニバル時代の尾藤が歌う「ルチア」のライブバージョン(!)も流れた!
もちろんめちゃめちゃにカッコいいんだけれど、それを流しますよ、という曲紹介がされたあとの、曲がはじまるまでのちょっとのあいだに、尾藤ったらちっさい声で
 「あちゃー」
って言ったの。いや待って、そのリアクション、ものすごくカワイイんですけど!!
とおもったけど、どうやらカワイらしさを狙った演出ではないらしく、自分の歌を聞くのって照れくさいんだって言ってた。
…いや待って、やっぱりものすごくカワイイんですけど!!!


その他、「これを言うと自慢になっちゃうんですけど…」ってはにかみながら話しはじめたのが、〈ポール・アンカから私物のマイクをもらった〉というものすごいエピソードだったりしたので、いやそれは、はにかまずに堂々と自慢していいやつでは!とおもったりしたなど、いろいろあったんだけど、ぜんぶはとうてい書ききれない。

あ、そうだ、ラジオだからアレだけど、
あとから番組Twitterで確認したところによりますと、お召し物は、
〈黒T + 赤もしくは濃ピンクの襟なしカーディガン(今っぽ!)〉
でした。
眼福也、と手を合わせつつ、ほんじつのダダもれビ活(=尾藤イサオ活動。)は、ここまでといたします、ていうかもしかしてまたしてもながくなってないか。

…ここまで読んでくださってる方がもしいたら、その行為でだいぶん徳を積まれたとおもいます。来世で推しのすてきRadioを聴く権利を手にしたも同然です。合掌。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?