2023年複雑なダービー

 ダービーウィークは古戦場と共に始まった。(勘弁してほしい;;)
 2021年のダービーから、私の競馬人生は始まっているので、ちょうど丸2年になる。今年も昨年より競馬への解像度を上げて臨むことができたダービーだった。
 デビューから知っていて追いかけているハーツコンチェルト、ファントムシーフ、スキルヴィング、ドゥラエレーデ。共同通信杯で好きになったタスティエーラ。京成杯で驚きのコーナー挙動を見せて気になっていたソールオリエンス。そしてここに書かない数十頭のダービー出走権が取れなかった応援している馬。ダービー出走の難しさや、出走権をかけた戦いの大きさを昨年以上に痛感したダービーだった。
 始まる前はワクワクしていた。90回目の節目のダービー。乗り替わりも多く、青葉賞組の雰囲気も例年とは違う。そもそも、皐月賞自体もハイセイコー以来の重馬場で行われた皐月賞だったらしい。前傾ラップのハイペース。実力が着順へそのまま反映されているとは言い難い牡馬クラシック初戦をへて、二戦目のダービーへ。順当にはいかないだろうと思っていたが、想像を超えていた・・・。
 ゲート出たところでの落馬、向こう正面での2番手のスローペース。単純な上がり勝負でなく、後半ロングスパート戦となった。タイム2分25秒台となり、スローな決着。最後の直線、ソールオリエンスとハーツコンチェルトが一緒に上がってくる。タスティエーラ粘る。ソールオリエンスはもうひと伸び・・・、すると思っていたが、伸びない。勝ったのはタスティエーラ。嬉しい、と同時に複雑であった。タスティエーラは松山騎手から乗り替わっていた。その松山騎手は僅差の3着。継続騎乗のハーツコンチェルト。そして2着はアタマ差でソールオリエンス横山武史騎手。エフフォーリアでの経験が彼を強くした。そして忘れ物を取りに来た。しかし、勝てなかった。
 タスティエーラが父サトノクラウンが成しえなかったダービー制覇をやってのけた。堀調教師は以前共同会見で「サトノクラウンには種牡馬として成功してほしい」「タスティエーラが良い成績をあげることで良い影響があれば」とおっしゃっていた。それが叶って嬉しい。
皐月賞の会見↓
https://youtu.be/aoxAD5lgOdo
 しかし、一方で、「自分の夢を叶えるというのは、誰かの夢を喰らうことだ」(たいようのマキバオーより)横山武史騎手、松山騎手だけではない。17頭分の夢を飲み込んで勝利したのだ。昨年よりも応援している馬、騎手、関係者が多くなってしまった分、悲しみも大きかった。それは、入着後、倒れてしまったあの馬のこともある。(ここではこれ以上書きません)
 ダービーから1日経過して、自分の中で少しは折り合いをつけられた。過去にもG1の舞台で亡くなった名馬はいる。それをリアルタイムで経験した人もいる。でも、競馬を変わらず愛したままだ。今私は、それらのことを「過去のこと」ではなく「今のこと」そして自分のこととして経験した。先人はこれを乗り越えてきたのだ。それを含めて競馬なのだ。日経新春杯で全馬の無事を祈っているのはこういうことがあるからだ。
 そして、もう1日経過してこれを書いている。今日、ナイスネイチャが亡くなったことが引退馬協会から発表された。命あるから、いつか別れが来るのだ。だから、愛するときに愛し、応援するときに応援する。私は競馬がより好きになった。
 2012年生まれのドゥラメンテ、キタサンブラックに続き、サトノクラウンの産駒もG1馬となった。リアルスティール産駒も気になる。1年後輩だが、サトノダイヤモンド産駒も。サトノグランツには期待している。
 今週末には新馬戦が始まる。また、来年のダービーへ向けて、私は色々な馬を応援するだろう。そして来年の今頃にはもっと成長して、より競馬が好きな自分がいると思う。
 全馬無事でレースを終えること、亡くなった馬が人々の記憶に長く残るように祈っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?