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The Velvet Underground / White Light/White Heat (1968)

のちに歴史的名盤と評価されることになるファースト・アルバムのリリース後、アンディ・ウォーホルやニコと袂を分かったヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、わずか1年足らずの制作期間で、ルー・リードのエクスペリメンタル・アート・ロックとジョン・ケイルの現代音楽を掛け合わせた、まさにアンダーグラウンドなバンドとしての面目躍如といえる衝撃的なセカンド・アルバムを送り出した。

禁忌に素手で触れまくるような危なっかしく過激な詞も、いかれたポップ・センスが咲き乱れるメロディも、狂ったように撒き散らされるノイズも、カオスの中に潜り込んでいくようなインプロヴィゼーションも、全てが鋭さを増し、混沌として凶暴なアートと化している。

ロックと前衛音楽の臨界点を余裕で踏み越えていく飽くなき挑戦心/探究心はしかし、すぐにリード/ケイルという奇蹟のアート・ユニットの亀裂へとつながり、結果的に本作がオリジナル・ヴェルヴェッツの最高傑作(前作はニコがいたので純粋なオリジナル布陣ではないということで)にしてこのコンビとしては”遺作”となった。



ルー・リードの逝去から今日で10年。
弔意を示すのにこれ以上ないような漆黒のジャケットのセカンド・アルバムを。こちらは今年で55周年。
1stはもちろん大名盤で愛聴盤だけど、パトロンのアンディ・ウォーホルとゴリ押しされたニコという要素が良くも悪くも影響を及ぼしていたわけで、ヴェルヴェッツ(ルー・リード+ジョン・ケイル+スターリング・モリソン+モーリン・タッカー)の本質を捉えているのは本作の方かもしれない。
右側にノイジー(阪神の助っ人じゃないよ)でインダストリアルなギターが鳴り響き、左ではケイルがシニカルで猟奇的な物語を”喋り続ける”②の異様さは最たるもので、彼らのアヴァンギャルドな魅力の真骨頂。
それを挟んで置かれるリード作の①は軽快なロックだし③は穏やかなポップ・ナンバーなんだけど、音はひび割れ、ノイズが撒き散らされている。だけど不思議と病みつきになるポップさがある。
小品的(でも刺激的)な④でA面が終わり、B面は更なるアヴァンギャルド・ノイズ祭り。最後なんて意識の彼方へと連れ去られそうなぐらい、カオスの深みへと到達している気がする。
ここまでやられると逆に清々しいものがある。

今日は眠気と疲労感とほろ酔いとちょいとした憂鬱さとが相まって、この偉大なる混沌が、聴いていてすごく気持ち良くなってきた・・・。

明日は朝晩往復で約3時間電車に揺られての休日出張。車内で本読むのとラーメン食べるのだけが楽しみよ。

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