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King Krule / 6 Feet Beneath the Moon (2013)

ロンドン出身の19歳、アーチー・マーシャルによるソロ・プロジェクト、キング・クルールのファースト・アルバム。

古のジャズやブルーズをベースに、ヒップホップ、インディ・ロック、ポスト・パンク、ダブステップなど多様な音楽性が当然のように同居している本作は、新人としては異例の完成度と異様な存在感を放つ傑作。

チャールズ・ブコウスキーとチェット・ベイカーとジョー・ストラマーの精神性や魂を受け継いだ彼は、ストラマーのように渋くクールに、トム・ウェイツのように枯れた場末感を帯び、ニック・ケイヴのように鋭く妖しく、デーモン・アルバーンのようにメランコリックに、マイク・スキナーのように言葉を連ね、歌う。その声のアクの強さが、どんどんクセになる。

ジェイムス・ブレイクやxxらの系譜にも連なる静謐な音像の上で、幾多の苦難を凌いできたような達観した迫力で孤独なソウルを歌う彼は、あどけなさの残る表情や赤髪、華奢な体に似つかわしくないほどに老練な孤高のシンガー・ソングライターであり、この”現代のビート詩人”の行く末が本当に楽しみになる。

月の下6フィートの孤独が、たしかに刻まれている。




豊作の2013年において、新人では屈指の出来栄えだったのがキング・クルールのデビュー作。
沈み込むように深い歌声が、浮遊感とノスタルジーとメランコリーとともに漂う、不思議な感触の、しかしクセになるアルバム。
賛否はあるにせよ、才能があることに疑いの余地はあるまい。というか、才能もなしにこんなにもオリジナリティに溢れた音楽は作れまい。そう思わまいか?

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