Johnny Cash / At Folsom Prison (1968)
いつもの”Hello, I'm Johnny Cash.”から始まるこの歴史に残る名ライヴ盤は、ジョニー・キャッシュが自作曲のタイトルにもなったフォルサム刑務所への慰問時(1968年1月13日)の音源を収めている。
彼がライフ・ワークのように行ってきた慰問ライヴを、名プロデューサーのボブ・ジョンストンの協力により待望の音源化を果たした。
ジョニーが「もっとも素晴らしい聴衆」と評した囚人相手に、犯罪者や死刑囚やならず者の歌を真正面から取り上げ、朗々と、ときに笑いを交えながら歌う。
それは聴き手を突き放すでも寄り添うでもなく、罪を犯すことを人間の業として、”生きていたらありえること”として歌っているように思える。
自らも収監されたことがあるジョニーが、罪を犯してしまう人間の愚かさ、弱さ、滑稽さ、哀しさ、どうしようもなさを(ブラック・)ユーモアと切迫感とともに歌い上げたとき、カントリーという音楽の持つストーリーテリングの凄みが芯まで伝わるのだろう。
それは囚人も聖人も関係なく、生きている全ての人間の業に直接訴えかけてくるかのようだ。
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