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Van Morrison / Astral Weeks (1968)

「ロック史上最も売れなかった名盤」とも称される、ロック史に残る傑作であるヴァン・モリソンのセカンド・アルバム「アストラル・ウィークス」。

不本意な形で発表することとなったデビュー作を経て、流行や名声に辟易した当時22〜23歳のヴァンはレーベルを移り、ニューヨークでジャズ界隈の腕利きのセッション・ミュージシャンを集め、即興音楽的でスピリチュアルな空気感を宿した本作を僅か2〜3日の間に完成させた。

ベーシストのリチャード・デイヴィス(本作を象徴する印象的なウッドベースを聴かせている)やドラマーのコニー・ケイらによる高品質で静かな熱を帯びた演奏を背に、リズム&ブルーズに根ざした粘りもアクも強いヴァンの武骨なヴォーカルと散文詩のような示唆的な詞、繊細で流麗なメロディが神々しいほどに眩く輝く。

あくまでもフリー・フォームな楽曲の中を、ときに迸るように疾走し、ときに幽玄に浮遊するヴァンの声と言葉と旋律が神聖にしてソウルフルな不朽の名作。



1年の終わりに相応しい音楽を、ということで、昨年のレナード・コーエンに続いて今年はヴァン・モリソン。というか「アストラル・ウィークス」。
アーティストの体温と、俗世間から隔たれた地平でのスピリチュアルなまでの聖域が不思議なほど自然に調和した、稀有なレコード。
数年前の冬に仕事で初めて静岡に行ったとき、駿府城公園を散歩しながら聴いたのも懐かしい思い出。身が引き締まるような澄んだ冷気に包まれて、音の一つ一つが身体中に染み渡っていくように思えた。


「凪」のまま過ぎていく1年。
それ自体は穏やかで幸せなことなのだけど、本当にこれでいいのか、求めていたのはこれなのかと自問しながら、あらゆる物事にヒントを求めながらゆっくりと歩みを進めている。その先に何があるかもわからないままに。

とりあえず今年はここまで。
来年も週1回は音楽について何かしら書けたらいいなと。
たぶんそれ以外については書けないと思う。

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