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Leonard Cohen / Songs from a Room (1969)

当時34歳のレナード・コーエンが、フォーク・ロック期のボブ・ディランなどを手掛けたボブ・ジョンストンをプロデューサーに迎えて制作したセカンド・アルバム。

彼がレコード・デビューをする前の8年間の大半を過ごしたというギリシャのイドア島で書かれた楽曲を中心とし、ジョンストンとともにナッシュヴィルにてレコーディングされた本作は、彼の代表曲である"Bird On The  Wire"で幕を開ける。
フォーク・スタイルのアコースティック・ギター主体のシンプルな音色を核に、音の輪郭は前作より明確になったが、根幹にある彼の詩人由来の曲作りは変わらない。
囁くような朴訥とした歌声はシンガーとしての巧さこそなくとも、主に神と女性についての自己哲学を端的かつ文学的に語るにはこれほど相応しい声はないのだろう。

悲劇的な死や戦禍の惨状を描いた曲も含まれた本作には、カナダ出身、アメリカ在住のコーエンが欧米を渡り歩きながら醸成していった人生観や死生観とともに、60年代末の暗澹たる時代背景も反映されているが、最後は穏やかな楽観とともに締め括られる。

ディランと自然に(そして必然的に)共鳴する豊かな才能と、陰鬱ながら美麗な作風で、コーエンは先に欧州で支持を集めることとなった。




聴いていて、一番荘厳さと畏怖の念を感じるのがレナード・コーエン。
今日は55年前の4月リリースのセカンド・アルバムを。
今の自分と同い年の時にレコーディングしているのか…。

最近、あたりまえだけど自分ももう若くはないのだなと実感することが多い。
個人的には歳を重ねるごとに精神的に充実してきて楽しいけど。

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