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Scott Walker / Scott 3 (1969)

スコット・ウォーカーのソロ3作目。
13曲のうち冒頭から10曲を自作曲で固め、ラスト3曲におなじみジャック・ブレルのカヴァーを収めた本作は、アイドル的存在から内省的なソロ・シンガーへ向かうスコットのソングライターとしての才能を深掘りするとともに、のちのキャリアの重要なエッセンスとなる実験性もわずかながら含まれている。

どことなく寂寥感を帯びたメロディは甘美でありながら、ときに不協和音気味のストリングスが背後を流れるなど頽廃的な雰囲気も漂わせ、孤高のアーティストへと変化していく手前の”ちょうどいい”時期のレコードで、本作を彼のフェイヴァリットに挙げるファンも多い。

大半を自身で編曲したという豪壮なオーケストレーションに埋もれぬ存在感と艶やかな魅力を放つスコットの歌声とクラシカルでポップな旋律が、力強く綴られた詞を伴ってしっかりと噛み合った申し分のないアルバム。




5年前の3月22日に亡くなったスコット・ウォーカーの作品から、今日は1969年3月にリリースされた、大きな瞳に物憂げなスコットの姿が映るジャケットも印象的なサード・アルバム「スコット3」でした。

俗世から屹立した歌声を持つスコットはジャック・ブレルのカヴァーでも(この時期にはカヴァーに飽きてきた模様)、麗しき自作曲でも、実験性を帯び始めても、決してブレルことはない。

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